複素数を含む方程式では、実数係数の多項式には共役な複素数も同時に現れるという性質があります。この性質を利用すると、二次方程式x²-bx+1=0の複素数解αについて、α²とα³を解にもつ3次方程式が存在する条件を求めることができます。
この記事では、複素数の性質と共役複素数、単位円上の表現を使いながら、条件を満たすbの値を求める考え方を丁寧に解説します。
二次方程式の解αが満たす性質
与えられた二次方程式は、x²-bx+1=0です。この方程式の2つの解をα、βとすると、解と係数の関係から次の式が成り立ちます。
αβ=1、α+β=b
ここでαは複素数解をもつとされているため、実数係数の二次方程式の性質から、もう一方の解はαの共役複素数になります。
したがって、β=α̅であり、αα̅=1となります。つまり、|α|=1です。
よってαは単位円上の複素数として、α=e^{iθ}と表すことができます。
実数係数の3次方程式に必要な条件
実数係数の方程式では、複素数が解になる場合、その共役複素数も必ず解になります。
今回、3次方程式がα²とα³を両方解にもつとします。このとき、α²が複素数ならば、その共役であるα̅²=α^{-2}も解でなければなりません。
同様にα³の共役であるα^{-3}も解になる必要があります。
つまり、解の候補としてα²、α³、α^{-2}、α^{-3}の4つが登場します。しかし3次方程式には3つしか解がないため、これらの中で少なくとも2つが一致しなければなりません。
複素数の一致条件を調べる
まず、α²とα^{-2}が一致する場合を考えます。
α²=α^{-2}より、α⁴=1となります。
しかし、この場合αは4乗根であり、複素数解としてα=iやα=-iなどが考えられます。このときα+α^{-1}=0となり、b=0になります。また実数解の場合でもbは正になりません。
したがって、α⁴=1の場合は条件を満たしません。
次にα³とα^{-3}が一致する場合を考えます。
α³=α^{-3}より、α⁶=1となります。
αが原始6乗根の場合、α=e^{iπ/3}またはその共役となり、
b=α+α^{-1}=2cos(π/3)=1
となります。この値は正なので条件を満たします。
さらにα²とα^{-3}が一致する場合を考えます。
α²=α^{-3}より、α⁵=1となります。
この場合、αは5乗根であり、
b=α+α^{-1}=2cos(2π/5)
となります。正の値を選ぶと、
b=2cos72°=(√5-1)/2
となります。
求めるbの値
以上より、3次方程式が存在するためには、α²、α³とそれらの共役が3個以内に収まる必要があります。
条件を満たす場合は、α⁶=1の場合とα⁵=1の場合です。
したがって、求めるbの値は以下の2つになります。
| 条件 | bの値 |
|---|---|
| α⁶=1 | 1 |
| α⁵=1 | (√5-1)/2 |
実際に3次方程式が作れることの確認
b=1の場合、αは6乗根なので、α²とα³は共役関係をもちます。そのため、α²、α³を含む実数係数の3次方程式を作ることができます。
またb=(√5-1)/2の場合も、αが5乗根となるため、α²とα³が共役関係になり、残り1つの実数解を加えることで実数係数3次方程式が成立します。
このように、単にα²とα³を入れるだけではなく、実数係数という条件によって共役複素数まで考えることが、この問題のポイントです。
まとめ|共役複素数と次数制限が解法のポイント
この問題では、実数係数の多項式では複素数解と共役複素数解が必ずセットになることを利用します。
α²とα³を3次方程式の解にするには、α²、α³、それぞれの共役が3個以内に収まる必要があります。その条件からαのべき乗の一致を調べることで、α⁵=1またはα⁶=1の場合が導かれます。
最終的に条件を満たすbは、b=1、b=(√5-1)/2となります。


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