ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式は、緩衝溶液のpHを求める際に非常によく使われる重要な式です。しかし、弱酸とその塩の濃度が与えられた場合、どの値を式に入れるのか、またpKbからpKaを求める方法で迷うことがあります。この記事では、弱酸と共役塩基からなる緩衝溶液について、式への代入方法を具体例を使って解説します。
ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式の基本形
弱酸HAとその共役塩基A⁻からなる緩衝溶液では、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式を使ってpHを求めることができます。
式は以下のようになります。
pH = pKa + log([A⁻]/[HA])
ここで、[A⁻]は弱酸の共役塩基の濃度、[HA]は弱酸そのものの濃度を表します。
つまり、式に代入する際は「塩の濃度を上、弱酸の濃度を下」に置くことがポイントです。
pKbからpKaを求める方法
弱酸の共役塩基のpKbが与えられている場合、そのままではヘンダーソン・ハッセルバルヒの式に使えません。まずpKaに変換する必要があります。
酸と塩基の関係には次の関係があります。
pKa + pKb = 14
したがって、pKbが7.3の場合は以下のように計算します。
pKa = 14 – pKb
pKa = 14 – 7.3 = 6.7
つまり、この弱酸のpKaは6.7になります。
濃度をヘンダーソン・ハッセルバルヒの式へ代入する方法
例えば、弱酸の濃度が0.05M、共役塩基(塩)の濃度が0.03Mの場合を考えます。
先ほど求めたように、pKaは6.7です。
ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式に代入すると、
pH = 6.7 + log(0.03/0.05)
となります。
濃度比を計算すると、
0.03/0.05 = 0.6
なので、
pH = 6.7 + log(0.6)
となります。
log(0.6)は約-0.22なので、
pH = 6.7 – 0.22 = 6.48
したがって、この緩衝溶液のpHは約6.5になります。
なぜ共役塩基の濃度を分子に置くのか
式の中で混乱しやすい部分が、「なぜ塩の濃度が上なのか」という点です。
弱酸HAは水中で一部が電離して、以下の平衡を作ります。
HA ⇄ H⁺ + A⁻
この平衡式を変形すると、
[H⁺] = Ka × [HA]/[A⁻]
となります。
両辺の対数を取り整理すると、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式になります。そのため、共役塩基A⁻の濃度が分子、弱酸HAの濃度が分母になります。
緩衝液の計算でよくある間違い
よくある間違いは、弱酸の濃度と塩の濃度を逆にしてしまうことです。
例えば今回の場合、0.05Mの弱酸を上にしてしまうと、
pH = 6.7 + log(0.05/0.03)
となり、実際より高いpHが計算されます。
基本的には、「塩(共役塩基)が上、酸が下」と覚えておくと間違いを防ぐことができます。
まとめ|pKbからpKaを求めて濃度比を代入する
弱酸とその塩からなる緩衝溶液では、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式pH = pKa + log([共役塩基]/[弱酸])を使います。
共役塩基のpKbが分かっている場合は、pKa = 14 – pKbで変換します。
今回の例では、pKb=7.3からpKa=6.7を求め、共役塩基0.03M、弱酸0.05Mを代入してpH約6.5となります。
式を暗記するだけではなく、「酸と共役塩基の平衡を表している」という意味を理解すると、濃度やpKa・pKbが変わっても正しく使えるようになります。


コメント