「してください」を「してきてください」と言うのは方言?表現の違いと使われる理由を解説

日本語

日常会話の中で「口を閉じてきてください」「少し右を向いてきてください」のように、本来なら「閉じてください」「向いてください」と言う場面で「〜してきてください」という表現を聞くことがあります。

この言い方は方言なのか、なぜ「きて」が付くのか気になる人も多い表現です。この記事では、「〜してきてください」という言い回しの意味や使われる理由、地域差や日本語表現としての特徴について解説します。

「してください」と「してきてください」の意味の違い

「してください」は、相手にその場で動作を行ってもらう時に使う一般的な依頼表現です。例えば「こちらを見てください」「口を開けてください」のように、現在いる場所で動作をしてもらう場合に使います。

一方で「してきてください」は、本来は「何かをして、その後こちらへ戻ってくる」という意味を持っています。例えば「薬を買ってきてください」「資料を取ってきてください」のように、移動を伴う行動で使われることが多い表現です。

しかし、現代の会話では必ずしも移動を意味せず、「その動作をしてもらう」という意味を少し柔らかく伝えるために使われることがあります。

「閉じてきてください」「向いてきてください」は方言なのか

「〜してきてください」という言い方は、必ずしも特定の地域だけで使われる方言とは言えません。全国的に聞かれることがある表現で、特に医療現場や接客場面など、相手に動作をお願いする状況で使われることがあります。

例えば歯医者で「少し右を向いてきてください」と言われた場合、実際には「右を向いた状態にしてください」という意味で使われています。

この場合の「きて」は移動を表しているのではなく、「その状態に変化してこちらに示してください」というニュアンスで使われています。

「〜してきてください」が使われる理由

この表現が使われる理由の一つは、依頼を少し柔らかく聞こえさせる効果があるためです。

「口を閉じてください」と言うと、場合によっては命令のように強く感じられることがあります。しかし「口を閉じてきてください」と言うと、相手にお願いする印象が強まり、丁寧な雰囲気になります。

特に医療関係者や接客業では、患者やお客様に緊張感を与えないよう、柔らかい表現を選ぶことがあります。

日本語では動作の完了を表す「〜てくる」がある

日本語の「〜てくる」には、単純な移動以外にもいくつかの意味があります。

表現 意味
買ってくる 買うために移動し、戻る
寒くなってくる 状態が変化して今に近づく
分かってくる 理解が進んで状態が変化する
向いてくる ある状態になる

「向いてきてください」のような表現も、この「状態を変化させる」という「〜てくる」の感覚から生まれたものと考えられます。

つまり、「右を向く」という動作を行い、その状態になってほしいという意味で使われているため、必ずしも不自然な日本語というわけではありません。

地域や年代による使われ方の違い

「〜してきてください」という表現は、話者の地域や職業、年代によって使用頻度に差があります。

例えば、家庭や職場で普段から柔らかい依頼表現を使う環境では自然に感じられますが、別の地域の人からすると「なぜ移動する必要があるの?」と違和感を持つ場合があります。

また、医療現場や介護現場では、相手への配慮から独特の言い回しが定着していることもあります。

違和感を覚えるのは自然なこと

「してください」が正しいと思っている人にとって、「してきてください」は少し不思議に聞こえることがあります。しかし、日本語には地域や場面によって変化する表現が多くあります。

例えば「見てみてください」「座ってもらえますか」「確認しておいてください」なども、文法的な意味だけではなく、相手との距離感や丁寧さを調整する役割があります。

そのため、「してきてください」という表現も、話し手が相手に柔らかくお願いするために使っている場合が多いと言えます。

まとめ|「してきてください」は必ずしも方言ではなく柔らかい依頼表現

「口を閉じてきてください」「右を向いてきてください」のような言い方は、特定の地域だけで使われる方言とは限らず、全国で聞かれることがある表現です。

本来の「〜てくる」は移動を表しますが、会話では「その状態になってください」という意味で使われることがあります。

少し違和感を覚える人がいる一方で、医療や接客などでは相手への配慮を込めた柔らかい表現として使われています。日本語には、このように文法上の意味から少し広がって使われる表現が多く存在します。

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