江戸時代などの古文書には、現代では使われない言葉や独特の公文書表現が多く含まれており、意味を理解するには当時の制度や用語を知る必要があります。「種銭者勿論鋳立方ニ相用候諸品打潰、鋳立所取拂方等早々取懸り被申候様申達候處」という文章も、貨幣鋳造に関する古い行政文書の一節と考えられます。この記事では、文の読み下しや現代語訳、用語の意味について分かりやすく解説します。
原文の読み下し
対象となる文章は、以下のように区切って読むと理解しやすくなります。
「種銭者勿論、鋳立方ニ相用候諸品打潰、鋳立所取拂方等、早々取懸り被申候様申達候處」
古文書では助詞や送り仮名が省略されることが多いため、現代文のようにそのまま読むのではなく、前後の意味を補いながら解釈します。
各語句の意味
種銭者勿論(たねせんはもちろん)
「種銭」とは、貨幣を鋳造する際に基準となる銭、または鋳造の見本となる貨幣を指します。
「者勿論」は「それはもちろんのこと」という意味で、ここでは「種銭については言うまでもなく」という意味になります。
鋳立方ニ相用候諸品打潰
「鋳立方」は貨幣を鋳造する作業や方法を指します。「相用候」は「使用する」という意味の丁寧な古文書表現です。
「諸品打潰」は、「さまざまな品物を打ち砕く、壊す」という意味です。つまり、鋳造に使われていた道具や材料などを処分することを表しています。
鋳立所取拂方
「鋳立所」は貨幣を鋳造していた場所、つまり鋳造施設を意味します。
「取拂」は「取り払い」のことで、撤去や取り壊しを指します。「鋳立所取拂方」は、鋳造所を撤去する作業のことになります。
文章全体の現代語訳
文章全体を現代の言葉にすると、以下のような意味になります。
「種銭はもちろんのこと、鋳造に使用していたさまざまな道具や品物を壊して処分し、鋳造所を撤去する作業などについて、早急に取り掛かるよう指示したところである。」
つまり、この文は貨幣を作る施設を閉鎖する際に、見本となる貨幣や鋳造関係の道具を処分し、施設を片付けるよう命じた内容だと考えられます。
この文章が使われた背景
江戸時代の貨幣制度では、幕府や藩が管理する鋳銭所などで貨幣が作られていました。政治的な理由や貨幣制度の変更によって、鋳造所が停止・廃止されることもありました。
その際には、勝手に貨幣を作られないように、鋳造に必要な道具や型、材料などを処分する必要がありました。
今回の文章も、単なる片付けではなく、貨幣鋳造を完全に停止するための行政上の措置を命じた文書の一部と考えられます。
古文書を読むときのポイント
江戸時代の公文書では、「候」「申達」「相用」などの決まった表現が頻繁に使われます。これらは現代語に直訳すると不自然になるため、文書全体の目的を考えて訳すことが大切です。
例えば「申達候處」は、「申し伝えたところ」「指示したところ」という意味で、命令や報告の文章でよく見られる表現です。
単語ごとの意味だけではなく、誰が誰に何を命じている文章なのかを把握すると、古文書の内容を理解しやすくなります。
まとめ:「種銭者勿論鋳立方ニ相用候諸品打潰」の意味
「種銭者勿論鋳立方ニ相用候諸品打潰、鋳立所取拂方等早々取懸り被申候様申達候處」は、貨幣鋳造の停止に伴い、種銭や鋳造道具を処分し、鋳造所を撤去するよう指示した文章です。
現代語では、「貨幣製造に関係するものを処分し、鋳造施設の撤去作業を速やかに開始するよう命じた」という内容になります。
古文書は独特の言い回しが多いですが、当時の制度や用語を理解すると、行政や社会の動きを読み取ることができます。


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