プレス順送型のスクラップ排出方法|高さ50mm制限でも中央排出するための設計アイデア

工学

大型のプレス順送型では、加工後に発生するスクラップをどのように安定排出するかが金型設計上の大きな課題になります。特に型サイズが大きく、プレス機のボルスター穴が中央付近にしかない場合、端部で発生したスクラップを中央へ搬送する仕組みが必要になります。この記事では、高さ制限がある大型順送型で使用できるスクラップ排出方法や、エアー搬送で発生しやすい問題を避けるための設計ポイントについて解説します。

大型順送型でスクラップ排出が難しくなる理由

順送プレスでは、材料送り方向に複数工程を配置するため、抜き加工によって発生したスクラップを型外へ確実に排出する必要があります。しかし、大型金型になると排出経路が長くなり、単純な落下排出では対応できないケースがあります。

特に今回のように型端部で切断を行い、プレス機中央部のボルスター穴へスクラップを集約する場合、搬送距離が長くなるため、スクラップの姿勢や落下タイミングのばらつきが問題になります。

また、型下スペースが50mm程度しかない場合、一般的なシューターや搬送ユニットを設置する余裕が少なく、角度不足による逆流や引っ掛かりが発生しやすくなります。

エアー搬送が安定しない原因と改善ポイント

エアーでスクラップを中央へ寄せる方法は、省スペースで実現できるため多く採用されます。しかし、薄板スクラップや形状が不規則なスクラップでは、エアー圧によって姿勢が変化しやすく、安定搬送が難しい場合があります。

特に吹きっぱなしのエアーでは、スクラップが回転したり立ち上がったりして、ダイとシューターの隙間に噛み込む問題が発生することがあります。

改善策としては、連続エアーではなく、スクラップ落下を検知したタイミングで短時間だけ吹く間欠エアー方式があります。ただし、センサーや制御が必要になるため、金型構造によってはメンテナンス性とのバランスを考える必要があります。

高さ50mm制限で検討できるスクラップ排出方法

型下スペースが限られている場合、以下のような方法が候補になります。

方式 特徴 注意点
傾斜シューター方式 自然落下を利用して搬送するため構造が簡単 角度不足では逆流や詰まりが発生
振動搬送方式 低いスペースでも搬送力を確保しやすい 振動源や耐久性の検討が必要
ローラー搬送方式 スクラップ形状の影響を受けにくい 設置スペースが必要
機械式スクレーパー方式 確実に中央へ押し出せる 駆動部の設計が必要

この中でも50mm程度の高さ制限がある場合、単純な滑り板よりも、機械的に押す方式や振動を利用した方式が有効になる場合があります。

おすすめできる機械式スクラップ寄せ構造

エアーを使わずに中央へスクラップを寄せる方法として、カム駆動式のスクレーパー機構があります。プレス上下動を利用して、型内または型下に配置したプレートでスクラップを中央方向へ押し出す方式です。

例えば、切断位置付近に薄型の押し板を配置し、上型下降時または上昇時の動きを利用してスクラップを一定方向へ送ります。この方法では、スクラップ落下タイミングのばらつきに左右されにくいメリットがあります。

また、プレス機から動力を取れるため、モーターやエアー配管が不要になり、大型金型でもメンテナンス性を確保しやすくなります。

振動シューターを利用した低スペース排出

型下高さが少ない場合、振動を利用したスクラップ搬送も有効な選択肢です。微小な振動によってスクラップを少しずつ移動させるため、急な傾斜角度を必要としません。

通常の滑り板では、角度を確保できないとスクラップが戻ってしまいますが、振動搬送では水平に近い状態でも搬送できます。

ただし、薄いスクラップや絡みやすい形状の場合は、ガイド形状や振動条件の調整が必要になります。試作段階でスクラップ形状を確認しながら設計することが重要です。

スクラップ形状を考慮した設計も重要

排出トラブルの多くは、搬送機構だけではなく、発生するスクラップ形状との相性が原因になっています。

例えば、細長い切りくず状のスクラップは絡まりやすく、板状スクラップは風圧や振動で姿勢が変わりやすい特徴があります。そのため、排出方法を決める前に、実際に発生するスクラップの大きさ、重量、落下姿勢を確認することが重要です。

場合によっては、抜き形状を少し変更してスクラップを小さく分割することで、排出性を大きく改善できるケースもあります。

まとめ

大型プレス順送型でスクラップを中央排出する場合、エアー搬送だけに頼ると、スクラップ姿勢のばらつきによる詰まりや逆流が発生しやすくなります。

高さ50mm程度の制限がある場合は、カム駆動式スクレーパー、振動搬送、低床ローラー搬送など、スペースを有効利用できる方式を検討すると安定した排出につながります。

最も重要なのは、発生するスクラップ形状と搬送方法の相性を確認することです。金型サイズやプレス機構だけでなく、スクラップそのものの動きを考慮した設計を行うことで、長期的に安定した順送型運用が可能になります。

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