反発係数の問題では、衝突後の高さを求める際に「h’=e²h」という関係式が登場することがあります。この式は便利なため公式のように使われがちですが、大学入試の答案でそのまま使用してよいのか、導出を書かなければ減点されるのか疑問に感じる人も多いでしょう。この記事では、反発係数と力学的エネルギー保存則からこの関係式がどのように導かれるのか、入試で安全に使うための考え方を解説します。
反発係数と衝突後の高さの関係
反発係数eは、衝突前後の速度の関係を表す量で、一般的には「衝突後の相対速度÷衝突前の相対速度」として定義されます。床に物体を落下させる問題では、衝突直前の速度と跳ね返った直後の速度の比として考えることができます。
高さhの位置から物体を静かに落とした場合、力学的エネルギー保存則より、衝突直前の速度vは以下のようになります。
mgh=1/2mv²
したがって、v²=2ghとなり、速度は高さの平方根に比例します。
衝突後に高さh’まで跳ね上がる場合も同様に、跳ね返り直後の速度v’について、
mgh’=1/2mv’²
となります。
また反発係数の定義から、床との衝突ではv’=evとなるため、
h’を求めると、h’=e²hという関係が得られます。
h’=e²hは公式として扱ってよいのか
結論から言うと、問題文の条件から導ける関係式であり、自分がその状況を理解した上で使用するのであれば、必ずしも毎回導出を書く必要はありません。
大学入試では、数学や物理の基本的な公式を利用して解答すること自体は一般的に認められています。例えば、等加速度運動の公式や運動量保存則を毎回証明してから使う必要がないのと同じです。
ただし、「h’=e²h」という式は高校物理で最初から与えられている基本公式ではありません。そのため、採点者が答案だけを見た場合に、どのような考え方で使用したのか分からない可能性があります。
答案で減点を避けるための書き方
安全な答案を書くなら、最初の1回だけ関係式の根拠を示すのがおすすめです。例えば、以下のように書けば十分です。
「反発係数より衝突後の速度はevとなる。力学的エネルギー保存則より、跳ね返り後の高さはh’=e²hである。」
このように、反発係数とエネルギー保存則のつながりを一言示しておけば、単なる暗記公式として使用しているのではなく、物理的な意味を理解して利用していることが伝わります。
逆に、途中式を一切書かずに突然「h’=e²hより」とだけ書いた場合、問題によっては説明不足と判断される可能性があります。特に記述式の試験では、答えだけでなく考え方を示すことが重要です。
h’=e²hを使う際に注意すべき条件
h’=e²hという関係は、どのような衝突でも使える万能な公式ではありません。これは、物体が床など固定された面に衝突し、鉛直方向の運動だけを考える場合に成立する関係です。
例えば、二つの物体同士が衝突する問題や、斜面上で跳ね返る問題では、単純に高さだけを比較することはできません。反発係数はあくまで速度の関係を表す量であり、状況に応じて運動量保存則や力学的エネルギーの変化を考える必要があります。
また、反発係数が1の場合は完全弾性衝突となりh’=hになります。一方、0<e<1の場合は衝突によってエネルギーが失われるため、跳ね返る高さは必ず元の高さより低くなります。
物理の入試では公式暗記より導出できる理解が重要
大学入試物理では、多くの公式を覚えることも必要ですが、それ以上に「なぜその式が使えるのか」を理解していることが重要です。
h’=e²hも、単なる暗記公式として覚えるより、「速度がe倍になる」「高さは速度の2乗に比例する」という二つの考え方から導けるようにしておくと、応用問題にも対応できます。
例えば、反発係数が0.5の場合、速度は半分になりますが、高さは4分の1になります。このような物理的意味を理解していれば、計算ミスも減り、初見の問題にも対応しやすくなります。
まとめ|h’=e²hは使えるが、根拠を示すとより安全
反発係数の問題で使われるh’=e²hは、力学的エネルギー保存則と反発係数の定義から導かれる関係式です。そのため、条件が合っている問題では利用して問題ありません。
ただし大学入試の記述答案では、突然この式だけを書くよりも、「反発係数より速度がe倍になる」「エネルギー保存則より高さは速度の2乗に比例する」という根拠を簡潔に示す方が安全です。
公式として丸暗記するのではなく、導出できる状態にしておけば、減点を避けられるだけでなく、さまざまな反発係数の問題に対応できる力が身につきます。


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