低圧幹線の過電流遮断器の選定では、内線規程に記載されている許容電流の考え方が分かりにくい場合があります。特に1360-2図にある「細い幹線許容電流≧IB又はIW(太幹線)×0.55」という条件について、IBだけを見る場合とIWを考慮する場合の違いを理解することが重要です。
この記事では、低圧幹線における過電流遮断器の設置条件、IBとIWの意味、0.55という係数の考え方、許容電流をどのように判断するかについて解説します。
低圧幹線におけるIBとIWの意味
低圧幹線の設計では、負荷電流や幹線の許容電流を考慮して過電流遮断器を選定します。その際に使用される代表的な記号がIBとIWです。
IBは、負荷に必要な設計電流、つまりその回路で流れることが想定される電流を表します。一方、IWは太い幹線側の許容電流を示す値として扱われます。
つまり、IBは「実際に必要となる電流」、IWは「幹線が安全に流せる電流容量」という違いがあります。
1360-2図にあるIW×0.55の意味
細い幹線を太い幹線から分岐する場合、分岐点から先の細い幹線を保護する必要があります。そのため、細い幹線の許容電流と過電流遮断器の関係を確認します。
「細い幹線許容電流≧IW×0.55」という条件は、太い幹線の許容電流を基準にして、分岐した細い幹線を一定条件下で保護するための考え方です。
この0.55という係数は、太い幹線側の保護装置と細い幹線の許容電流の関係を考慮した安全上の基準であり、単純に細い幹線の許容電流を55%にするという意味ではありません。
IBのみが記載されている場合の考え方
条文上でIBのみが示されている場合は、基本的には負荷電流IBを基準に判断します。
つまり、細い幹線の許容電流がIB以上であれば、その負荷に対して必要な電流を安全に供給できるという考え方になります。
一方で、太い幹線から細い幹線へ分岐するような構成では、太い幹線側の過電流遮断器が細い幹線を十分に保護できるかという別の確認が必要になります。その場合にIW×0.55の条件が関係します。
許容電流は係数を掛けた後の値で判断するのか
IW×0.55という表現を見ると、「許容電流そのものに0.55を掛けるのか」と迷うことがありますが、基本的な考え方は、過電流遮断器の保護条件を満たすための比較値として使用するというものです。
例えば、太幹線の許容電流IWが100Aの場合、IW×0.55は55Aになります。この場合、細い幹線の許容電流が55A以上であることが一つの判断条件になります。
ただし、実際の設計では、電線種類、布設方法、周囲温度、電線の許容電流補正なども関係するため、単純な数値比較だけで決定することはできません。
具体例で見る低圧幹線の判断方法
例えば、太い幹線の許容電流が150Aで、その途中から50Aの負荷へ供給する細い幹線を設置するとします。
この場合、負荷電流IBが50Aであれば、細い幹線の許容電流は少なくとも50A以上必要になります。しかし、太い幹線側の保護装置との関係では、IW×0.55による確認も必要になる場合があります。
つまり、判断の流れとしては「負荷に必要な電流を満たしているか」と「上流側の遮断器によって細い幹線が保護されるか」の両方を見ることが重要です。
内線規程を読むときに注意すべきポイント
内線規程の図や条文は、単独の数値だけを見ると解釈が難しく感じることがあります。特にIBとIWの違いは、回路構成を理解した上で読む必要があります。
IBだけが書かれている場合は負荷電流を基準とした条件、IW×0.55が出てくる場合は幹線の太さや分岐関係を考慮した保護条件として理解すると整理しやすくなります。
また、実際の施工や設計では、最新の内線規程や電気設備技術基準、メーカー資料などを確認し、必要に応じて有資格者や専門技術者へ確認することが重要です。
まとめ:IBとIW×0.55は目的が異なる基準として考える
低圧幹線の過電流遮断器選定では、IBは負荷に必要な電流、IWは幹線容量を示す値として考えます。
IBのみで判断する場合は負荷電流を基準にし、IW×0.55が登場する場合は太い幹線から細い幹線へ分岐する際の保護条件を確認するために用います。
重要なのは、0.55という係数を単純な許容電流補正として扱うのではなく、過電流遮断器と幹線保護の関係を確認するための条件として理解することです。


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