美大受験の手のデッサンでは、単に形を描くだけではなく、立体感や質感、光の表現力が評価されます。その中で「ハッチングによる色塗りのような描き方は避けたほうがよい」と指導されることがあります。この記事では、なぜハッチングが問題になる場合があるのか、鉛筆をどのように使えばよいのか、手のデッサンで意識すべきポイントについて解説します。
美大受験のデッサンでハッチングが注意される理由
ハッチングとは、鉛筆などで複数の線を重ねて面を表現する技法です。本来はデッサンでも使われる一般的な表現方法ですが、使い方によっては「ただ色を塗っているように見える」ことがあります。
美大受験で求められるデッサンは、対象物の形や構造、光による変化を理解して描くことが重要です。線を大量に重ねて暗さを作るだけになると、なぜそこが暗いのか、どのような面の変化があるのかが伝わりにくくなります。
例えば手の甲を描く場合、全体を均一な線で暗くするよりも、骨格や筋肉の流れ、光が当たる方向を考えながら陰影を作る必要があります。
デッサンで大切なのは「色」ではなく「面」を作ること
デッサンでは、紙の上に単純な黒色を置くのではなく、立体物を感じさせるための明暗を作ることが大切です。
鉛筆を寝かせて広い範囲を塗る方法も間違いではありません。しかし、最初から全体を均一に塗ってしまうと、形の理解よりも色の濃さを調整する作業になりやすくなります。
例えば手の指を描く場合、指一本一本を同じ濃さで塗るのではなく、円柱のような立体として考え、光が当たる面、影になる面、反射光がある部分を分けて表現します。
美大受験で求められる鉛筆の使い方
美大受験のデッサンでは、鉛筆の持ち方や動かし方を状況によって変えることが重要です。
広い面を作る初期段階では、鉛筆を寝かせて薄く色を置くことがあります。ただし、それは最終的な色塗りではなく、全体の明暗や形の方向を確認するための作業です。
その後は鉛筆を立て気味に持ち、対象の形に沿った線や面を意識して描き込みます。指の丸みなら指の流れに沿って、手の甲なら骨格や筋肉の方向を考えて線を置きます。
ハッチングを使うなら意識すべきポイント
ハッチング自体が悪いわけではありません。問題になるのは、意味のない線の集合になってしまうことです。
良いハッチングは、物体の形を説明する役割があります。例えば指の丸みを表す場合、指のカーブに沿った線を使うことで、見る人に立体感を伝えることができます。
一方で、方向を考えずに縦横斜めの線を大量に重ねるだけでは、表面を黒くしただけに見えてしまいます。
手のデッサンで特に意識したいポイント
手は美大受験でも難しいモチーフの一つです。理由は、骨、関節、筋肉、皮膚の柔らかさなど、複数の要素を同時に表現する必要があるためです。
まず大切なのは、指の長さや関節の位置などの形を正確に取ることです。その上で、光の方向を確認し、どの面が明るくどこに影が落ちるのかを考えます。
例えば握った手を描く場合、指の輪郭だけを見るのではなく、手のひらの厚みや指同士が作る隙間、関節部分の変化を観察すると、より説得力のあるデッサンになります。
上達するための練習方法
ハッチングを改善するには、線を増やす練習よりも、少ない線で立体を表現する練習が効果的です。
例えば卵や円柱、木製の棒など単純な形を描き、光による明暗の変化を観察すると、手のデッサンにも応用できます。
また、自分のデッサンを見るときは「黒く塗れているか」ではなく、「その線や陰影によって形が伝わるか」という視点で確認することが重要です。
まとめ
美大受験の手のデッサンでハッチングを注意される理由は、ハッチングそのものが悪いからではなく、単なる色塗りに見えてしまう可能性があるためです。
鉛筆は広い面を作るために寝かせて使うこともありますが、重要なのは形や光を理解した上で使うことです。線は黒さを作るためではなく、立体感や質感を伝えるために使います。
手のデッサンでは、形を正確に取り、光の方向を考え、対象の構造に合わせた鉛筆の動かし方を身につけることで、より評価される作品につながります。


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