差圧式流量計はなぜ圧力損失を発生させるのか?オリフィス・ベンチュリーを使う理由を解説

工学

差圧式流量計は、オリフィスやベンチュリー管などの絞り機構を配管内に設置し、その前後に発生する圧力差から流量を求める方式の流量計です。一見すると、わざわざ圧力を低下させる仕組みを入れることは無駄に見えるかもしれません。しかし、この圧力差を利用することには明確な理由があります。この記事では、差圧式流量計が使われ続けている理由や、直配管に取り付けるだけの流量計との違いについて解説します。

差圧式流量計の基本的な仕組み

差圧式流量計は、流体が狭い部分を通過すると速度が変化し、その結果として圧力が変化するという流体の性質を利用しています。

配管内にオリフィス(穴の開いた板)やベンチュリー管などの絞り部を設けると、流体はその部分で流速が上昇します。ベルヌーイの定理により、流速が速くなる場所では圧力が低下するため、絞りの前後に圧力差が発生します。

この高圧側と低圧側の差圧を測定することで、流体の流量を計算できます。差圧は流速と一定の関係があるため、圧力差を知ることで流量を推定できる仕組みです。

なぜ直配管に流量計を付けるだけでは駄目なのか

直配管に設置するだけで流量を測定できる流量計も存在します。しかし、流体の流れそのものには目に見えない情報が少なく、単純に配管内を流れている状態だけでは正確な流量を測ることが難しい場合があります。

例えば、水道管の中を流れる水を考えると、同じ速度で流れているように見えても、配管の摩擦、圧力、温度、流体の種類によって状態が変化します。そのため、何らかの測定基準となる現象を発生させる必要があります。

差圧式流量計では、あえて絞りを作ることで「流量によって必ず変化する圧力差」という測定しやすい現象を人工的に作り出しています。

圧力損失があっても差圧式流量計が使われる理由

確かに、オリフィスなどの絞りを設置すると圧力損失が発生します。そのため、ポンプや圧縮機などで余分なエネルギーを消費する原因になる場合があります。

しかし、それ以上に大きなメリットがあります。差圧式流量計は構造が非常に単純で、可動部が少なく、長期間安定して使用できます。また、高温・高圧の流体にも対応しやすいという特徴があります。

例えば、発電所や石油化学プラントでは、高温高圧の蒸気やガスを大量に扱います。このような環境では、複雑な電子式センサーよりも、単純で耐久性の高い差圧式流量計が適している場合があります。

オリフィス式とベンチュリー式の違い

オリフィス式は、穴の開いた薄い板を配管内に設置する方式です。構造が簡単で安価なため、工業分野で広く利用されています。

一方、ベンチュリー式は滑らかに管径を変化させた形状をしており、流れの乱れが少なく、圧力損失を小さくできます。

つまり、オリフィスは「低コストで測定できること」がメリットであり、ベンチュリーは「圧力損失を抑えながら測定できること」がメリットです。用途や設備条件によって使い分けられています。

圧力損失を嫌う場合に使われる別の流量計

現在では、差圧を利用しない流量計も多く存在します。例えば、電磁流量計、超音波流量計、コリオリ式流量計などがあります。

電磁流量計は流路内に障害物がないため、ほとんど圧力損失がありません。また、超音波流量計も配管の外側から測定できるタイプがあり、配管内の流れを妨げません。

ただし、これらの流量計は測定できる流体や条件に制限があり、価格や設置環境によっては差圧式流量計の方が適している場合があります。

まとめ

差圧式流量計は、あえてオリフィスやベンチュリーによって圧力差を作り、その差を利用して流量を測定する装置です。

圧力損失というデメリットはありますが、構造が単純で信頼性が高く、高温高圧環境でも使用できるという大きなメリットがあります。

直配管に取り付けるだけの流量測定が理想に思える場合もありますが、実際の工業設備では、コスト、耐久性、測定精度、使用環境を総合的に考えて最適な流量計が選ばれています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました