集団遺伝学の問題で、遺伝子型頻度からアレル頻度を求めようとした際に「別の方法で計算すると値が矛盾する」という現象が起こることがあります。今回のケースもその典型で、計算手順のどこかに前提の誤解が含まれている可能性があります。本記事ではその原因を整理し、正しい考え方を解説します。
結論:矛盾の原因は「ハーディ・ワインベルグ平衡の誤適用」
今回のような矛盾は、ハーディ・ワインベルグ平衡(p² + 2pq + q² = 1)を前提にした式変形を、実際のデータにそのまま適用してしまうことで起こります。
つまり、AA・Aa・aaの比率が2:1:1であっても、それが必ずしも理論上のp² : 2pq : q²に一致するとは限りません。
観測値と理論値を混同している点
AA:Aa:aa = 2:1:1 というのは「観測された頻度」です。
一方で p²、2pq、q² は「理想条件(ランダム交配・選択なし・十分な個体数)」を満たしたときの理論値です。
この2つを直接イコールで結ぶと矛盾が生じます。
なぜpとqを別々に求めると矛盾するのか
例えば aa = q² として q = 1/2 とすると、Aa = 2pq の条件から p を逆算できます。
しかしこのとき AA = p² と一致しないのは当然で、そもそも「理論分布として成立していないデータ」を無理に当てはめているためです。
つまり方程式が過剰に拘束され、整合しなくなります。
正しい遺伝子頻度の求め方
遺伝子頻度は遺伝子型の数から直接計算するのが基本です。
Aの頻度 p = (2×AA + Aa) / (2×総個体数)
aの頻度 q = (2×aa + Aa) / (2×総個体数)
この方法なら必ず p + q = 1 になります。
今回のケースの正しい計算
AA:Aa:aa = 2:1:1 の場合、総個体数を4とするとアレル数は8になります。
Aの数は AA×2 + Aa = 4 + 1 = 5
したがって Aの頻度は 5/8 = 0.625 となり、これは正しい値です。
まとめ
今回の矛盾は計算ミスではなく、「理論モデル(ハーディ・ワインベルグ平衡)と観測データを混同したこと」によって生じています。
遺伝子頻度はまずアレル数から直接求めるのが最も確実で、p²や2pqの式は条件が整った場合にのみ使用する必要があります。
モデルと現実データの違いを意識することが、遺伝学問題の正しい理解につながります。


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