高圧受電設備の設計や施工において、引込柱やキュービクルの接地種別(EA、EB、ED、LA接地など)の扱いは混乱しやすいポイントです。特に「図面に記載がない引込柱側にも接地を計上すべきか」という疑問は現場でもよく議論されます。本記事では、PAS(LA内蔵)やキュービクル構成を前提に、接地設計の基本的な考え方を整理します。
高圧受電設備における接地の基本構成
高圧受電設備では、接地は機能ごとに役割が分かれています。
代表的には、機器の保護接地(EA)、高圧機器用接地(EB)、避雷器用接地(LA接地)、制御回路やELB関連の接地などがあります。
これらはすべて「どこで電位を逃がすか」という目的別に設計されています。
引込柱とキュービクルの役割の違い
引込柱は電力会社側の高圧引込点に近く、主に配電線からの受電を受ける設備です。
一方でキュービクルは受電後の変圧・保護・分電を行う設備であり、接地設計の中心は通常こちらに集中します。
そのため図面上でもキュービクル側に多くの接地記号が記載される傾向があります。
PAS(LA内蔵)と避雷器接地の考え方
PAS(高圧気中負荷開閉器)にLA(避雷器)が内蔵されている場合、雷サージはまずそのLAで大地へ逃がされます。
この場合、LA接地はPAS設置位置(多くは引込柱側またはその直近)で最短距離で大地に落とす設計が基本です。
よってLA接地は「どこにある機器か」に強く依存します。
引込柱側にEAやEA(LA)を計上する必要性
結論としては、設計図に明示がない場合でもPAS+LAが引込柱側にある構成であれば、LA接地(EA(LA)相当)は引込柱側に必要となるケースが一般的です。
ただしEA(機器接地)については、キュービクル側の主接地網に統合される設計も多く、二重計上を避ける設計意図がある場合もあります。
重要なのは「接地の分離ではなく、接地網の連携設計」で判断することです。
設計図に記載がない場合の実務的判断
実務では、図面に記載がない場合でも機器配置・電力会社仕様・内線規程の適用範囲を基準に判断します。
特に高圧設備では、雷保護と保安上の観点からLA接地を省略することは基本的にありません。
そのため引込柱にPASがある場合は、LA接地を独立して設ける前提で検討されることが多いです。
まとめ
高圧引込柱とキュービクルの接地は、単純に図面記載の有無だけで判断するものではありません。
PASやLAの位置関係、接地網の構成、電力会社仕様を踏まえて全体設計として整理する必要があります。
結果として、LAが引込柱側にある構成ではEA(LA)は計上対象となることが多く、キュービクル側と役割分担して設計されます。


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