犬の慢性腎臓病では、病気の進行に伴って「代謝性アシドーシス」という体内の酸性化が起こることがあります。この状態が続くと、筋肉量の減少(筋肉のやせ)が進むことが知られています。
この記事では、なぜ代謝性アシドーシスが筋肉量低下につながるのか、その生理学的な仕組みをわかりやすく解説します。
代謝性アシドーシスとは何か
代謝性アシドーシスとは、血液中の酸とアルカリのバランスが崩れ、体が酸性に傾いた状態を指します。
慢性腎臓病では、腎臓が酸を排泄する機能が低下するため、酸が体内に蓄積しやすくなります。
この状態が持続すると、体内のタンパク質代謝に大きな影響を与えます。
体が筋肉を分解してしまうメカニズム
体が酸性に傾くと、それを中和するためにアミノ酸が消費されます。
このアミノ酸は主に筋肉のタンパク質を分解することで供給されるため、結果として筋肉量が減少します。
つまり、筋肉が「酸を中和する材料」として使われてしまうのです。
慢性腎臓病とエネルギー代謝の変化
慢性腎臓病では食欲低下や栄養吸収の低下も同時に起こることが多く、エネルギー不足に陥りやすくなります。
このエネルギー不足も筋肉分解を促進し、筋肉量減少を加速させます。
また、インスリン感受性の低下なども筋タンパク質の合成を妨げます。
ホルモンと炎症の影響
代謝性アシドーシスはストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を増加させることがあります。
コルチゾールは筋肉分解を促進する作用を持つため、筋肉減少がさらに進行します。
また、慢性炎症状態もタンパク質代謝のバランスを崩す要因となります。
筋肉量減少が臨床的に重要な理由
筋肉量の減少は単なる見た目の問題ではなく、犬の生活の質(QOL)や予後に直結します。
筋肉が減ることで体力低下や免疫力低下が起こり、病気の進行にも影響します。
そのため、腎臓病管理では筋肉維持も重要な治療目標となります。
まとめ
代謝性アシドーシスは体内を酸性に傾け、その中和のために筋肉タンパク質が分解されることで筋肉量減少を引き起こします。
さらにエネルギー不足やホルモン変化も加わり、筋肉減少は進行しやすくなります。
慢性腎臓病の管理では、この代謝変化を理解した上での栄養・治療介入が重要です。


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