産業用モーターの絶縁試験後にリード線へ触れた際、アースしていない状態で電撃を感じる現象は珍しいものではありません。この現象は「電気がコイル内に溜まり続けている」という単純な話ではなく、静電容量や誘導、測定器の特性など複数の要因が関係しています。本記事では、その仕組みを現場目線でわかりやすく解説します。
絶縁試験で何が起きているのか
絶縁試験(メガーテスト)は高電圧をコイルと外装(アース)間に印加し、絶縁抵抗を測定する試験です。
このときコイル内部にはコンデンサのように電荷が一時的に蓄えられます。
試験終了後に放電処理をしないと、残留電荷が残ることがあります。
コイルは「巨大なコンデンサ」として振る舞う
モーターのコイルは巻線構造のため、導体間に微小な静電容量が多数存在します。
これにより、絶縁試験時にはコンデンサと同様に電荷が蓄積されます。
試験電源を切っても電荷が即座に消えるわけではありません。
電撃ショックの主な原因は残留電荷
リード線をアースせずに触れると、コイルに残った電荷が人体を通して放電されることがあります。
これが「ビリッ」とした電撃ショックの正体です。
特に高電圧で試験した場合、残留エネルギーも大きくなります。
静電誘導による見かけの電圧も関係する
近くの電位や測定器内部の構造により、リード線に静電誘導で電圧が現れることもあります。
これは実際に電源が供給されているわけではなく、空間電荷の影響によるものです。
高インピーダンスのテスターでは特に顕著に見える場合があります。
なぜアース放電が重要なのか
試験後にアースへ放電しないと、残留電荷が安全リスクになります。
そのため現場では「放電棒」やアース接続による確実な電荷除去が必須です。
これは感電防止の基本手順として規格でも重要視されています。
まとめ
モーターコイルは構造的にコンデンサのように電荷を保持するため、絶縁試験後に放電しないと電撃を感じることがあります。
これは電気が「溜まり続けている」というより、残留電荷と静電誘導による一時的な現象です。
安全のためには試験後の確実なアース放電が不可欠です。


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