スマートフォンやイヤホンの普及とともに、ワイヤレス充電は身近な技術になりました。その中心となっているのがワイヤレス給電の国際標準規格であるQi(チー)と、その後継規格であるQi2(チー2)です。しかし、「Qiはどの給電方式を採用しているのか」「Qi2になると何が変わったのか」と疑問に思う人も少なくありません。この記事ではQiとQi2の違いをはじめ、ワイヤレス充電で使われる給電方式について分かりやすく解説します。
Qiとは何か
Qi(チー)は、Wireless Power Consortium(WPC)が策定したワイヤレス給電の国際標準規格です。
スマートフォン、スマートウォッチ、ワイヤレスイヤホンなど、多くの機器で採用されており、異なるメーカー同士でも充電器と機器の互換性を確保できることが特徴です。
Qi規格では送電側と受電側のコイルを利用して電力を伝送します。
Qiはどの給電方式を採用しているのか
Qiが採用しているのは電磁誘導方式(Magnetic Induction)です。
充電器内部の送電コイルに交流電流を流すと磁界が発生し、その磁界によってスマートフォン側の受電コイルに電流が誘導されます。
この原理は変圧器(トランス)と似ていますが、空気を介して電力を送る点が異なります。
| 給電方式 | Qiでの採用 | 特徴 |
|---|---|---|
| 電磁誘導方式 | ○ | 高効率で実用化が進んでいる |
| 電界結合方式 | × | 小型機器向け研究例が多い |
| マイクロ波方式 | × | 長距離送電向け研究段階 |
つまり、QiもQi2も電界結合方式やマイクロ波方式ではなく、電磁誘導方式を採用しています。
Qi2とは何か
Qi2は2023年に発表された新しいワイヤレス給電規格です。
AppleのMagSafe技術を参考に開発された「Magnetic Power Profile(MPP)」を採用していることが最大の特徴です。
従来のQiでは充電器とスマートフォンのコイル位置が少しずれるだけで効率が低下することがありましたが、Qi2では磁石によって位置合わせを行うため、最適な位置で安定した充電が可能になりました。
QiとQi2の違い
| 項目 | Qi | Qi2 |
|---|---|---|
| 給電方式 | 電磁誘導方式 | 電磁誘導方式 |
| 位置合わせ | 基本的に手動 | 磁石で自動位置合わせ |
| 充電効率 | 位置ずれで低下しやすい | 効率が安定 |
| 発熱 | やや大きい場合がある | 抑えやすい |
| 最大出力 | 規格により異なる | 15W対応を標準化 |
Qi2は新しい給電方式になったわけではなく、同じ電磁誘導方式をより効率的に利用できるよう改良された規格と考えると分かりやすいでしょう。
電界結合方式やマイクロ波方式との違い
ワイヤレス給電にはQi以外にもさまざまな方式があります。
電界結合方式
電極間の電界を利用して電力を伝送します。コイルを必要としないため薄型化しやすい反面、大電力化や長距離化が難しいという課題があります。
マイクロ波方式
電波としてエネルギーを飛ばして受信アンテナで回収する方式です。
長距離送電が可能ですが、エネルギー損失が大きく、現在のスマートフォン充電には実用化されていません。
スマートフォンやイヤホンのような近距離充電では、効率と安全性に優れる電磁誘導方式が最適とされています。
Qi2が注目される理由
Qi2では磁石による位置合わせ機能によって、ユーザーが置くだけで最適な充電状態を作りやすくなりました。
これにより充電効率の向上だけでなく、発熱の低減や充電時間の短縮も期待できます。
また、今後はAndroidスマートフォンを含めた多くのメーカーがQi2対応製品を拡大すると予想されています。
まとめ
QiとQi2はいずれも電磁誘導方式のワイヤレス給電規格です。
Qi2は新しい給電原理ではなく、磁石による位置合わせ機能を導入することで、従来のQiよりも効率や利便性を向上させた規格です。
一方で、電界結合方式やマイクロ波方式は別のワイヤレス給電技術であり、現在のスマートフォン向けQi規格には採用されていません。近距離で高効率な充電を実現するため、現時点では電磁誘導方式が最も広く実用化されている方式となっています。


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