逆正接関数 arctanx のマクローリン展開は大学数学や解析学で頻繁に登場します。特にテイラーの定理を用いて剰余項を積分形で表す問題は、関数の近似精度や級数の収束を理解する上で重要です。この記事では、arctanxのマクローリン展開と積分形剰余項の導出を順を追って解説します。
arctanxのマクローリン展開
まず、arctanxの導関数を考えます。
arctanx の導関数は
f'(x)=1/(1+x²)
です。
|x|<1において
1/(1+x²)=1−x²+x⁴−x⁶+…+(-1)^n x^(2n)+…
という等比級数展開が成立します。
これを0からxまで積分すると、arctanxのマクローリン展開
arctanx=x−x³/3+x⁵/5−x⁷/7+…+(-1)^n x^(2n+1)/(2n+1)+…
を得ます。
積分形剰余項の考え方
n次までで打ち切ったときの部分和を
S_n(x)=Σ[k=0〜n] (-1)^k x^(2k+1)/(2k+1)
とします。
剰余項R_n(x)は
R_n(x)=arctanx−S_n(x)
で定義されます。
導関数の級数展開との差を利用すると、剰余項を積分として表すことができます。
積分形剰余項の導出
等比級数の有限和を利用すると
1/(1+t²)=1−t²+t⁴−…+(-1)^n t^(2n)+(-1)^(n+1)t^(2n+2)/(1+t²)
が成立します。
両辺を0からxまで積分すると
arctanx=S_n(x)+(-1)^(n+1)∫[0→x] t^(2n+2)/(1+t²)dt
となります。
したがって積分形剰余項は
R_n(x)=(-1)^(n+1)∫[0→x] t^(2n+2)/(1+t²)dt
です。
剰余項の評価
|x|<1のとき、分母1+t²は常に1以上なので
|R_n(x)|≤∫[0→|x|] t^(2n+2)dt
となります。
計算すると
|R_n(x)|≤|x|^(2n+3)/(2n+3)
を得ます。
nを大きくすると右辺は0に近づくため、マクローリン展開がarctanxに収束することも確認できます。
具体例:3次近似の場合
n=1とすると
arctanx≈x−x³/3
です。
このとき剰余項は
R₁(x)=∫[0→x] t⁴/(1+t²)dt
となります。
例えばx=0.1なら、剰余項の大きさは非常に小さく、高精度な近似になることがわかります。
まとめ
arctanxのマクローリン展開は
arctanx=x−x³/3+x⁵/5−…+(-1)^n x^(2n+1)/(2n+1)+R_n(x)
で表されます。
そして積分形剰余項は
R_n(x)=(-1)^(n+1)∫[0→x] t^(2n+2)/(1+t²)dt
となります。この形は級数の収束や近似誤差の評価に非常に重要であり、解析学や大学数学の基礎として頻繁に利用されます。


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