光速0.8cで移動する宇宙船から見た電波の到達時間の計算方法:相対性理論入門

物理学

相対性理論の初歩として、光速に近い速度で移動する宇宙船と地球間で電波が到達する時間を考える問題があります。今回は、宇宙船が光速の0.8倍で移動している場合に、宇宙船と地球から発射される電波の所要時間を計算してみましょう。

問題設定の整理

地球と地点Aは相対的に静止しており、距離は1.6光年です。宇宙船は地点Aから地球に向かって光速の0.8倍で等速直線運動しています。

求めたいのは次の2つです。

  • 宇宙船から電波を放射した場合、地球に到達する時間(宇宙船の時計で)
  • 地球から電波を放射した場合、宇宙船に到達する時間(地球の時計で)

(1)宇宙船から電波を放射した場合

宇宙船からの電波は光速cで進みます。宇宙船は光速の0.8cで地球に接近しているので、電波は追い越して進む形です。

距離 = 1.6光年、宇宙船の速度 v = 0.8c なので、電波が到達する時間は相対論的に簡単に計算できます。宇宙船の視点では、地球は自分に向かって0.8cで接近しているため、電波と地球の相対速度は c + 0.8c = 1.8c ではありません。

正確には、宇宙船の固有時間(τ)での電波到達時間はローレンツ変換を用いて求めます。地球の静止系での到達時間 t = 距離 / 光速 = 1.6光年 / c = 1.6年。宇宙船の時計での時間は γ = 1 / sqrt(1 – v²/c²) = 1 / sqrt(1 – 0.64) = 1 / 0.6 ≈ 1.667。

宇宙船の固有時間 τ = t / γ = 1.6年 / 1.667 ≈ 0.96年。

よって、宇宙船の時計では約0.96年後に地球に電波が到達します。

(2)地球から電波を放射した場合

地球から宇宙船に向かって電波を送る場合、宇宙船は光速0.8cで地球に接近しています。

地球から見た相対距離 = 1.6光年、電波速度 c、宇宙船速度 0.8c なので、電波と宇宙船の接近にかかる時間 t = 距離 / (c + v) = 1.6 / (c + 0.8c) = 1.6 / 1.8 ≈ 0.888年 ≈ 10.66ヶ月 ≈ 321日 ≈ 7,704時間。

地球の時計での到達時間は約7,700時間です。

まとめ

光速0.8cで接近する宇宙船と地球間での電波到達時間をまとめると以下の通りです。

  • 宇宙船から電波を送った場合(宇宙船時計):約0.96年
  • 地球から電波を送った場合(地球時計):約7,700時間(約0.88年)

ポイントは、宇宙船の時計と地球の時計で時間の計測が異なる点です。これは相対性理論による時間の遅れ(タイムダイレーション)の影響です。

初歩的な相対性理論の問題としては、光速に近い速度で移動する観測者間での時間計算の練習になります。

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