半導体とLSIの違いとは?なぜ台湾や日米韓は最先端半導体の製造競争をしているのか

工学

ニュースでは「台湾・日本・アメリカ・韓国が半導体開発で競争している」という話題をよく耳にします。一方で、「LSIの方が複雑そうなのに、なぜ半導体ばかり注目されるのだろう」と疑問に思う人もいるでしょう。

実は、LSIも半導体の一種です。そして現在各国が競争しているのは、まさに超高性能なLSIを製造するための最先端半導体技術なのです。

LSIと半導体は別のものではない

まず理解しておきたいのは、LSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)は半導体デバイスの一種であるという点です。

半導体とはシリコンなどの材料や、それを利用した電子部品全体を指します。

その中にトランジスタ、ダイオード、メモリ、CPU、GPU、LSIなどが含まれます。

用語 意味
半導体 材料やデバイス全体の総称
IC 集積回路
LSI 大規模集積回路
CPU 超高集積化されたLSIの一種

つまり、「LSI」と「半導体」は対立する概念ではなく、LSIは半導体技術によって作られています。

現代のLSIには数万個どころではないトランジスタが入っている

かつてのLSIには数万個程度のトランジスタが集積されていました。

しかし現在のスマートフォン向けプロセッサやAI向け半導体では、数十億個から数百億個ものトランジスタが1チップに搭載されています。

最先端の半導体チップでは、1cm四方程度の領域に数百億個規模のトランジスタが集積されることも珍しくありません。

そのため、現代のLSI製造は人類が実現した工業技術の中でも最高レベルの精密技術の一つとされています。

なぜ台湾や韓国が強いのか

最先端LSIの製造には莫大な設備投資と高度な製造ノウハウが必要です。

例えば最先端工場1か所の建設だけで数兆円規模の投資が必要になることもあります。

台湾のTSMCや韓国のSamsungは長年にわたり微細加工技術を磨き続け、世界最高水準の製造能力を確立しました。

そのため、多くの企業が設計した半導体チップの製造を受託しています。

現在の競争は「微細化技術」の競争

各国が競争しているのは単純なLSI製造ではなく、より微細な回路を作る技術です。

半導体業界では「3nm」「2nm」などのプロセス技術が話題になります。

回路を小さくできるほど、同じ面積に多くのトランジスタを配置できます。

  • 高性能化
  • 低消費電力化
  • 発熱低減
  • AI処理能力向上

これらを実現できるため、各国が巨額の投資を行っているのです。

日本やアメリカが半導体産業を重視する理由

半導体はスマートフォンだけでなく、自動車、家電、医療機器、通信設備、防衛システムなどあらゆる分野で利用されています。

もし半導体供給が止まれば、現代社会の多くの産業が機能しなくなります。

そのため、各国は経済安全保障の観点からも半導体製造能力の確保を重要視しています。

LSI製造で特に難しい工程

LSI製造では数百もの工程を経てチップが作られます。

中でも特に難しいのが露光工程です。

極端紫外線(EUV)露光装置を使い、ナノメートル単位で回路パターンを形成します。

人間の髪の毛の太さが約8万〜10万nm程度であることを考えると、その精度の高さが分かるでしょう。

まとめ

LSIは半導体の一種であり、現在各国が競争している最先端半導体とは、超高集積化されたLSIそのものを指しています。

現代の半導体チップには数十億〜数百億個のトランジスタが搭載されており、その製造には世界最高レベルの技術が必要です。

台湾や韓国、日本、アメリカが競争している背景には、技術力だけでなく経済や安全保障の観点も大きく関係しているのです。

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