SUS304 Sch10 100Aのローリング裏波溶接条件の目安|TIG溶接で安定した裏波を出すコツ

工学

SUS304 Sch10の100A配管をローリングで裏波溶接する際は、材料の薄さや熱入力の管理が重要になります。特にステンレス配管は焼けや溶け落ちが発生しやすいため、電流値だけでなく開先精度やパージ条件も含めて考える必要があります。この記事では、SUS304 Sch10 100Aの裏波溶接における一般的な条件の目安と作業時のポイントを解説します。

SUS304 Sch10 100Aの基本仕様

100A(4インチ)のSUS304 Sch10は、一般的に肉厚約3.0~3.1mm程度の薄肉ステンレス配管です。

この厚みでは裏波を形成しやすい反面、熱を入れすぎると溶け落ちや内面の酸化が発生しやすくなります。

項目 目安
材質 SUS304
呼び径 100A(4B)
肉厚 約3.0~3.1mm
溶接方法 TIG溶接(ローリング)

裏波溶接時の条件の目安

実際の条件は溶接機や開先精度によって変わりますが、多くの現場では次のような条件から調整を始めます。

項目 目安
溶接電流 75~95A
タングステン 2.4mm
アルゴン流量 7~10L/min
バックシールド 5~10L/min
溶加棒 ER308L φ1.6mm

最初から高電流で攻めるより、やや低めの電流から裏波の出方を確認しながら調整する方が失敗は少なくなります。

開先とルートギャップの考え方

裏波の成否は電流よりも開先精度に左右される場合があります。

Sch10クラスではルート面をほぼゼロにし、ルートギャップを1.0~1.5mm程度に設定するケースが多く見られます。

ギャップが狭すぎると裏波が出にくくなり、広すぎると溶け落ちの原因になります。

また、仮付け時の目違いはできるだけ少なくし、円周全体で均一なギャップを維持することが重要です。

バックシールド(パージ)の重要性

ステンレス配管の裏波溶接では、パージ不足による酸化が品質不良の大きな原因になります。

配管内部に十分なアルゴンを充填し、酸素濃度を下げてから溶接を開始しましょう。

内面が黒く焼ける場合は電流だけでなく、パージ量や待機時間も見直す必要があります。

食品・医薬・半導体関連の配管では特にパージ品質が重視されます。

ローリング溶接で安定した裏波を出すコツ

ローリングでは姿勢が安定するため、アーク長を一定に保つことが重要です。

  • トーチ角度を一定にする
  • アークを長くしすぎない
  • 溶融池を常に確認する
  • 送り速度を一定に保つ
  • 過度なウィービングを避ける

特に薄肉ステンレスでは、わずかな速度変化でも裏波の形状が変わります。

均一な溶融池を維持できる速度を見つけることが良好なビード形成につながります。

よくあるトラブルと対策

症状 主な原因 対策
裏波が出ない 電流不足・ギャップ不足 電流またはギャップ調整
溶け落ちる 電流過大・停止時間過多 熱入力を下げる
内面が黒く焼ける パージ不足 バックシールド改善
ビード幅が不均一 速度変動 回転速度を一定化

まとめ

SUS304 Sch10 100Aのローリング裏波溶接では、溶接電流75~95A前後、ER308L φ1.6mm、十分なバックシールドを基準として調整するのが一般的です。

ただし裏波の品質は電流だけで決まるものではなく、開先精度、ルートギャップ、パージ状態、溶接速度のバランスが重要です。実際の現場では試験片で条件出しを行い、自社の施工基準に合わせて最適化することが安定した品質確保につながります。

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