熱化学では、燃焼熱や生成熱の関係を理解することが重要です。特に高校化学や大学入試では、ヘスの法則を利用して燃焼熱から生成熱を求める問題が頻繁に出題されます。本記事では、水素・炭素・プロパンの燃焼熱が与えられた場合に、プロパン(C3H8)の生成熱を求める考え方をわかりやすく解説します。
生成熱と燃焼熱の違いを整理する
まずは用語の意味を確認しましょう。
生成熱とは、単体の元素から化合物1molが生成するときに出入りする熱量です。
燃焼熱とは、物質1molが完全燃焼するときに発生する熱量です。
今回与えられている燃焼熱は次のとおりです。
| 物質 | 燃焼熱 |
|---|---|
| H₂ | 286 kJ/mol |
| C | 394 kJ/mol |
| C₃H₈ | 2219 kJ/mol |
求めるのはプロパンの生成熱です。
プロパンの生成反応を書いてみる
プロパンは炭素と水素から構成されています。
したがって生成反応は次のようになります。
3C + 4H₂ → C₃H₈
この反応の反応熱が生成熱です。
直接求めることはできないため、ヘスの法則を利用して計算します。
ヘスの法則を利用する
ヘスの法則とは、「反応経路が異なっても、始状態と終状態が同じなら反応熱は一定」という法則です。
まず炭素3molと水素4molをそれぞれ燃焼させるとどうなるかを考えます。
炭素3molの燃焼熱は
394 × 3 = 1182 kJ
水素4molの燃焼熱は
286 × 4 = 1144 kJ
よって合計は
1182 + 1144 = 2326 kJ
となります。
これは単体の炭素と水素から最終的に二酸化炭素と水へ到達する際の総発熱量です。
プロパンを経由する経路を考える
別の経路として、まず炭素と水素からプロパンを生成し、その後プロパンを燃焼させることを考えます。
この場合の発熱量は次のようになります。
プロパンの生成熱 + プロパンの燃焼熱
プロパンの燃焼熱は2219kJ/molなので、生成熱をxとすると
x + 2219 = 2326
となります。
したがって
x = 2326 – 2219
x = 107
よってプロパンの生成熱は107kJ/molとなります。
なぜ引き算になるのか
生成熱を求める問題では、燃焼熱の合計から目的物質の燃焼熱を差し引く形になることがよくあります。
今回の場合、炭素と水素を直接燃焼したときの総発熱量が2326kJです。
一方、炭素と水素からいったんプロパンを作ると、その段階で107kJ放出され、その後の燃焼で2219kJ放出されます。
両方を足すと2326kJとなり、ヘスの法則と一致します。
このようにエネルギー収支を図で考えると理解しやすくなります。
類題で間違えやすいポイント
- 係数(Cが3mol、H₂が4mol)を掛け忘れる
- 燃焼熱と生成熱の符号を混同する
- ヘスの法則で足し算と引き算を逆にする
- 元素の状態を確認しない
特に係数を掛け忘れるミスは非常に多いため注意が必要です。
まとめ
プロパンの生成熱はヘスの法則を利用して求められます。
炭素3molと水素4molの燃焼熱の合計は2326kJです。
ここからプロパンの燃焼熱2219kJを差し引くと、生成熱は107kJ/molとなります。
したがって選択肢の中で正しい答えは107です。燃焼熱と生成熱の関係を理解し、ヘスの法則によるエネルギー収支の考え方を身につけることが熱化学の問題攻略のポイントです。


コメント