複素数平面では、点の位置や図形の性質を複素数の式で表現できます。特に正三角形の条件は、美しい代数的な形で記述できることが知られています。本記事では、相異なる複素数 z1,z2,z3 が正三角形の頂点となるための必要十分条件として、z1^2+z2^2+z3^2-z1z2-z2z3-z3z1=0 が成り立つことを証明します。
与えられた式を変形する
まず左辺を整理します。
z1^2+z2^2+z3^2-z1z2-z2z3-z3z1=((z1-z2)^2+(z2-z3)^2+(z3-z1)^2)/2
したがって条件は、
(z1-z2)^2+(z2-z3)^2+(z3-z1)^2=0
と同値です。
正三角形ならば式が成り立つことの証明
z1,z2,z3 が正三角形の頂点であるとします。
a=z2-z1、b=z3-z2 と置くと、正三角形の性質より |a|=|b| かつ b=ωa または b=ω^2a が成り立ちます。ただし ω=(-1+i√3)/2 は 1 の原始3乗根です。
このとき z3-z1=a+b=(1+ω)a です。
条件式の左辺は、a^2+b^2-(a+b)^2=-ab となりますが、ω^2+ω+1=0 を利用すると、
a^2+b^2+(z3-z1)^2=a^2+ω^2a^2+(1+ω)^2a^2=0
となります。
よって与えられた式が成り立ちます。
逆に式が成り立つなら正三角形になることの証明
今、
(z1-z2)^2+(z2-z3)^2+(z3-z1)^2=0
が成り立つとします。
a=z2-z1、b=z3-z2 と置くと、z3-z1=a+b なので、
a^2+b^2+(a+b)^2=0
すなわち、
a^2+ab+b^2=0
を得ます。
b≠0 より両辺を b^2 で割ると、
(a/b)^2+(a/b)+1=0
となります。
よって a/b=ω または ω^2 です。
3乗根の性質から正三角形が導かれる
ω および ω^2 は絶対値が1で偏角が ±120° の複素数です。
したがって、
|a|=|b|
かつ
∠(a,b)=120°
が成り立ちます。
これは辺 z1z2 と辺 z2z3 の長さが等しく、そのなす角が120°であることを意味します。
三角形の内角としては60°となるため、3辺が等しい正三角形になります。
複素数による正三角形判定の考え方
複素数平面では、長さの比は絶対値、回転は偏角によって表現できます。
正三角形の本質は「隣接する辺が同じ長さで60°回転していること」です。
その回転を表しているのが1の原始3乗根 ω であり、ω^2+ω+1=0 が今回の証明の中心となっています。
まとめ
相異なる複素数 z1,z2,z3 に対して、z1^2+z2^2+z3^2-z1z2-z2z3-z3z1=0 が成り立つことと、複素数平面上で z1,z2,z3 が正三角形の頂点となることは同値です。
証明では a=z2-z1、b=z3-z2 と置き、条件式を a^2+ab+b^2=0 に変形した後、1の原始3乗根 ω を用いて a/b=ω または ω^2 を導くことで、辺の長さが等しく60°回転していることを示します。このように複素数は図形の性質を代数的に表現できる強力な道具となっています。


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