数列の極限でよく登場するのが、0<r<1のとき nr^n→0 という性質です。指数関数は多項式より速く0へ近づく、という重要な例でもあります。しかし、ε-N論法で証明しようとすると途中で不等式の扱いが難しく感じることがあります。ここでは、なぜその極限が0になるのかを、高校数学〜大学初級レベルでわかりやすく整理します。
まず結論:指数関数は多項式より強い
結論から言うと、0<r<1では、r^nはnが大きくなるにつれて猛烈な速さで0に近づきます。
一方、nは無限大へ増えていきますが、その増え方はr^nの減少速度に比べるとかなり遅いです。
そのため、最終的には nr^n も0へ収束します。
よく使う変形を確認する
0<r<1なので、逆数を考えると
r=1/a (a>1)
と書けます。
すると
nr^n=n/a^n
になります。
つまり、「指数関数 a^n の増加に対して、n程度では追いつけない」という問題に変わります。
なぜ0になるのかを直感で理解する
例えば r=1/2 の場合を考えると、
| n | nr^n |
|---|---|
| 1 | 1×(1/2)=0.5 |
| 5 | 5×(1/32)=0.15625 |
| 10 | 10×(1/1024)≈0.0098 |
| 20 | 20×(1/1048576)≈0.000019 |
nは増えているのに、r^nの減少が圧倒的に速いため、全体として0に近づいていきます。
質問文の不等式で混乱しやすい点
質問では、
(-ε+1)r<n√n×r<(ε+1)r
のあと、
(1+ε)r<1
などがなぜ成り立つかわからない、とあります。
ここで重要なのは、0<r<1だから、rを掛けると値が小さくなるという点です。
例えば、もし ε が十分小さければ、
1+ε<1/r
を満たすようにできます。
すると両辺にrを掛けて
(1+ε)r<1
が得られます。
つまり、εを適切に小さく取っているだけなのです。
実際の証明では等比数列の性質を使うことが多い
大学初級では、次の事実を使うことが多いです。
a>1なら lim n→∞ n/a^n=0
これは指数関数の増加が多項式より速いことを表しています。
したがって
nr^n=n/a^n→0
となります。
ε-N論法で見るとどうなるか
ε-N論法では、任意の ε>0 に対して、
nr^n<ε
となるようなNを取れれば十分です。
r^nは指数的に小さくなるため、nを掛けても最終的にはいくらでも小さくできます。
つまり、『指数関数の減少は一次関数の増加を圧倒する』ことが本質です。
まとめ
0<r<1のとき、r^nは指数的に0へ近づきます。
その減少速度はnの増加よりはるかに速いため、nr^nも最終的には0へ収束します。
質問で悩みやすい「(1+ε)r<1」の部分は、0<r<1であることと、εを十分小さく取れることを利用しているだけです。
数列の極限では、『指数関数は多項式より強い』という感覚を持っておくと、多くの問題が理解しやすくなります。


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