旋盤加工でシャフトを製作していると、「ベアリングが入る部分は必ず研削なのか?」「三ツ山にGが付いている意味は?」と疑問に感じることがあります。
特に図面に公差や三ツ山指示がある場合、旋削仕上げでよいのか、それとも円筒研削まで必要なのか迷いやすい部分です。
実際には、すべてのシャフトが研削仕上げになるわけではなく、要求される精度や面粗度、使用条件によって加工方法は変わります。
この記事では、ベアリング嵌合部やプーリー嵌合部の一般的な加工方法と、図面上の「G」指示の意味について現場目線で整理して解説します。
ベアリング嵌合部は必ず研削するのか?
結論からいうと、ベアリング部が必ず研削になるわけではありません。
ただし、高精度が要求される場合は円筒研削が選ばれることが非常に多いです。
旋削だけで済むケース
一般的な産業機械や簡易的な回転機構では、NC旋盤仕上げだけで公差を満たすことがあります。
例えば以下のようなケースです。
- h7程度の比較的緩い公差
- 低速回転
- 一般的な6200番台ベアリング
- 振れ要求が厳しくない
この場合、超硬バイトによる仕上げ加工だけで使用可能なことも多いです。
研削が必要になるケース
一方で、次のような条件では研削仕上げが採用されやすくなります。
- g5、f6など高精度公差
- 高速回転軸
- モーターシャフト
- 振れ精度が厳しい
- 焼入れ後加工
- 面粗度要求が厳しい
特に焼入れ材は旋盤バイトでの仕上げが難しくなるため、最終工程を円筒研削にすることが一般的です。
プーリー嵌合部はどうなのか
プーリー部についても、必ずしも研削ではありません。
キー溝付きプーリーなどでは、通常の旋削仕上げで済むケースが非常に多いです。
プーリーはベアリングほど厳しくないことが多い
ベアリングは内輪との精密嵌合が必要ですが、プーリーは比較的許容が広い場合があります。
そのため、以下のような仕様なら旋削のみも珍しくありません。
| 用途 | 加工方法 |
|---|---|
| 一般Vプーリー | 旋削仕上げ |
| タイミングプーリー | 場合によって研削 |
| 高精度同期軸 | 研削仕上げ |
つまり、「回転精度」「芯ブレ」「速度」が重要になるほど研削が必要になりやすいということです。
三ツ山とは何か
図面で出てくる「三ツ山」とは、一般的には表面粗さ記号を指す場合が多いです。
JISの古い図面では、山形記号(三角形のような形)で加工方法や面粗度を表現することがありました。
現在ではISO系の表面性状記号が主流ですが、現場では「三ツ山」と呼ばれることがあります。
Gの意味
三ツ山の近くに「G」と書かれている場合、多くはGrinding(研削)を意味します。
つまり、「この面は研削仕上げしてください」という加工指示です。
現場によって表記ルールは多少異なりますが、円筒研削を示すためにGを記載する図面は実際によくあります。
G指示がないと研削してはいけないのか
必ずしもそうではありません。
ただし、図面要求以上の加工を勝手に行うとコスト増になるため、通常は図面指示に従います。
現場でよくある判断
例えば以下のようなケースがあります。
- 公差だけ厳しく、加工方法未指定
- 面粗度のみ指定
- 熱処理後寸法指定
この場合、製造側が「旋削では無理なので研削工程を入れる」と判断することがあります。
つまり、図面にGがなくても、実際には研削で精度を出しているケースは珍しくありません。
なぜ研削が使われるのか
研削加工は、旋削よりも寸法精度・真円度・面粗度を高く出しやすい特徴があります。
研削の主なメリット
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 寸法精度 | μm単位で安定 |
| 真円度 | 高精度 |
| 面粗度 | 非常に良い |
| 焼入れ材 | 加工しやすい |
そのため、ベアリング嵌合部や高精度軸では今でも重要な工程です。
旋削だけで高精度を出すこともある
最近のNC旋盤や工具性能は非常に高く、条件次第では旋削だけでかなり高精度な加工も可能です。
特に小径シャフトでは、研削レス設計を行うメーカーも増えています。
ただし、量産安定性や熱変形、真円度まで考慮すると、最終的には研削を採用するケースが依然として多いです。
まとめ
ベアリング部やプーリー部のシャフトは、必ずしも研削仕上げになるわけではありません。
ただし、高精度公差・高速回転・焼入れ材などの条件では円筒研削がよく採用されます。
また、図面の三ツ山付近に「G」とある場合、多くはGrinding(研削加工)の指示を意味しています。
実際の加工方法は、公差・面粗度・熱処理・コスト・用途を総合的に見て決定されるため、「ベアリングだから絶対研削」という単純な話ではない点が重要です。


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