パワーMOSFETやIGBTなどのパワー半導体では、ダイシング前のウエハ段階でプローブカードを用いた電気特性検査が行われています。
特に車載向けや産業機器向けでは品質要求が非常に厳しく、「どの段階で何を測定しているのか」「縦型デバイスはどうやって検査しているのか」が気になる人も多い分野です。
この記事では、パワー半導体のプローブテスト工程について、一般的な検査項目から縦型MOSFET・IGBT特有の測定方法まで整理して解説します。
プローブテストとは何をする工程なのか
プローブテスト(Wafer Probe Test)は、半導体ウエハ上に形成された各ダイの電気特性を、ダイシング前に測定する工程です。
テスターとプローブカードを使用し、微細な針(プローブ針)を各チップのパッドへ接触させて測定を行います。
この工程の主な目的は次の通りです。
- 不良ダイの早期選別
- 後工程コスト削減
- 特性ばらつき確認
- 歩留まり解析
- 信頼性管理
ウエハ状態で不良を除去することで、パッケージ工程や実装工程への無駄な投入を減らせます。
一般的にどのような項目を測定するのか
MOSFETやIGBTなどのパワー半導体では、主に以下のような項目が測定されます。
| 測定項目 | 内容 |
|---|---|
| しきい値電圧(Vth) | ゲートがONし始める電圧 |
| リーク電流 | OFF時漏れ電流 |
| オン抵抗(Rds(on)) | 導通時抵抗値 |
| 耐圧試験 | 規定電圧に耐えられるか |
| ゲートリーク | ゲート絶縁破壊確認 |
| 短絡確認 | 異常ショート有無 |
| 容量特性 | CissやCrss等 |
製品によっては、高温状態や低温状態で測定する場合もあります。
車載向けでは通常品より検査項目が増え、スクリーニング条件も厳しくなる傾向があります。
ウエハ段階で全チップを検査するのか
基本的には、ウエハ上の全ダイに対して電気検査を行います。
特にパワー半導体は1個不良でも大きな事故につながるため、ロジックIC以上に全数検査色が強い分野です。
車載向けではさらに厳格で、
- AEC-Q101準拠
- トレーサビリティ管理
- バーンイン試験
- 追加スクリーニング
などが実施されることもあります。
ただし、「全項目を全数測る」とは限りません。
例えば高速量産ラインでは、重要パラメータを全数測定し、時間のかかる詳細解析は抜き取り評価にするケースもあります。
縦型MOSFETやIGBTはどうやって測定するのか
ここがパワーデバイス特有の重要ポイントです。
縦型MOSFETやIGBTでは、電流がチップ表面から裏面へ流れます。
つまり、ソースやゲートは上面にありますが、ドレイン(またはコレクタ)は裏面金属に接続されています。
縦型デバイスの測定構造
一般的には、ウエハ裏面全面に金属膜が形成されています。
そのため、ウエハを導電性チャックテーブル(チャック)へ吸着させることで、裏面電極へ電気接続できます。
つまり構造としては、
- 上面 → プローブ針接触
- 下面 → 導電性チャックで接触
となります。
この方法により、縦方向へ電流を流して特性測定が可能になります。
導電性チャックとはどのようなものか
プローバ装置には「チャックテーブル」と呼ばれる高精度ステージがあります。
パワー半導体向けでは、このチャック自体が金属製または導電構造になっており、ウエハ裏面と電気的に接続されます。
さらに次のような機能を持つ場合があります。
- 温調機能(高温・低温試験)
- 真空吸着
- 高耐圧絶縁
- 大電流対応
IGBTや高耐圧MOSFETでは数百V〜数kV近い試験を行う場合もあるため、一般IC用より大型かつ特殊な構造になることがあります。
パワー半導体のプローブテストで難しい点
パワーデバイスの検査は、ロジックICより難易度が高いと言われます。
その理由として、
- 高電圧測定
- 大電流測定
- 発熱
- 接触抵抗影響
- プローブ針摩耗
などがあります。
特にオン抵抗測定では、針接触抵抗が結果へ影響しやすいため、ケルビン測定を使うこともあります。
また、プローブ跡(Probe Mark)が後工程へ悪影響を与えないよう管理されます。
プローブカードの種類も用途で異なる
パワーデバイス用プローブカードには、用途によってさまざまな種類があります。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| ニードル型 | 比較的シンプルで高耐圧向き |
| MEMS型 | 高密度多ピン向き |
| 大電流対応型 | 低抵抗・発熱対策重視 |
特にMOSFETでは、大電流印加時の電圧降下や熱設計が重要になります。
まとめ
MOSFETやIGBTなどのパワー半導体では、ダイシング前にウエハプローブ検査が行われ、各ダイの電気特性を確認しています。
測定項目には、しきい値電圧、リーク電流、オン抵抗、耐圧などが含まれ、車載向けではさらに厳格な検査が実施されます。
また、縦型デバイスでは、ウエハ裏面を導電性チャックテーブルへ接触させることで、上面から下面へ電流を流しながら測定しています。
パワー半導体のプローブテストは、高電圧・大電流・高精度を同時に扱う、半導体検査工程の中でも特に高度な技術分野の一つです。


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