アルケンには二重結合(C=C)が存在し、炭素原子の並びや結合の性質によりシス・トランス異性体が生じます。特に炭素原子数が4以上のアルケンで異性体が存在する理由や、2個ではなぜ発生しないのかについて詳しく解説します。
C=C結合の回転制限
二重結合はπ結合とσ結合から成り立っています。σ結合は自由に回転できますが、π結合は平面状の電子雲で構成されており、この部分は自由に回転できません。これがシス・トランス異性体が可能になる基本的な理由です。
π結合による回転制限により、二重結合に結合する基が互いに同じ側(シス)か反対側(トランス)かで異なる化学的性質を示すことになります。
炭素原子数が4以上で異性体が可能な理由
シス・トランス異性体が成立するには、二重結合に結合している両方の炭素に異なる基が必要です。炭素原子数が4以上になると、二重結合の両側に少なくとも2種類の異なる基がつけられるため、異性体が存在できます。
例えば、ブテン(C4H8)の場合、CH3CH=CHCH3では、二重結合に結合する炭素の片方にメチル基、もう片方に水素があり、シス型とトランス型の異性体が存在します。
炭素数が少ない場合の制限
炭素原子数が2や3の場合、二重結合の両側に異なる基を付けることができず、シス・トランス異性体は存在しません。エチレン(C2H4)やプロペン(C3H6)では、二重結合の両側の炭素に同じ水素が結合しているため、異性体の概念自体が成立しません。
このため、炭素数が4以上で初めて、二重結合に基づく立体異性体が生じる条件が揃うのです。
シス・トランス異性体の例
ブテンの場合。
- シス-2-ブテン:メチル基が同じ側に位置
- トランス-2-ブテン:メチル基が反対側に位置
これらは物理的性質(融点、沸点)や化学的性質が異なることがあり、工業的や生化学的な利用にも影響を与えます。
まとめ
アルケンでシス・トランス異性体が生じるのは、C=Cのπ結合が回転できないためです。異性体の存在には、二重結合に結合する炭素がそれぞれ異なる基を持つ必要があり、炭素原子数が4以上で初めて条件が揃います。炭素数が少ない場合は、両側の基が同一であるため、シス・トランス異性体は存在しません。


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