冷間圧延鋼板(SPCC)と電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)の曲げ加工には、いくつかの重要な挙動差があります。特に、SECCはメッキ層の影響を受けるため、SPCCとは異なる挙動を示し、仕上がり角度に微妙な差が生じることがあります。この記事では、これらの違いを解消するための方法を詳しく解説します。
SPCCとSECCの違いとは?
SPCC(冷間圧延鋼板)とSECC(電気亜鉛メッキ鋼板)の大きな違いは、SECCが亜鉛メッキを施されている点です。このメッキ層は、SPCCのような純粋な鋼板とは異なり、曲げ時にメッキ層がダイとの摩擦に影響を与えます。特に、SECCの曲げ加工では、表面のメッキ層による摩擦の違いが、SPCCとの比較で微妙な仕上がり角度の差を生じさせます。
また、SECCの曲げ部にメッキの剥離や粉(スカッフィング)が発生しやすく、そのカスがダイに蓄積されることが問題となります。この現象が次の一枚の角度に影響を与え、精度不良の原因となります。
補正値の管理方法
材質変更を行う際に試し曲げなしで角度を予測するためには、補正値を管理することが重要です。SPCCとSECCでは、曲げの挙動が異なるため、補正値をあらかじめデータベース化しておくことが役立ちます。特に、同じ板厚(1.6t)であっても、SECCの曲げ挙動を正確に予測するために補正値を調整する必要があります。
補正値は、過去の加工データを元に算出した値を使用し、データベースとして保存します。このようにすることで、異なる材料でも最適な曲げ角度を予測し、試し曲げの回数を減らすことができます。
メッキ鋼板特有の粉による精度不良の防止
SECCの曲げ加工では、メッキ層の剥離や粉(スカッフィング)が発生しやすい問題があります。この粉が金型に蓄積することで、次の加工に悪影響を及ぼすため、定期的な金型の注油と清掃が重要です。
金型への注油や清掃は、加工の精度を維持するために定期的に行うべきです。特に、加工中に粉が溜まりやすい箇所には、専用の注油スプレーや清掃手段を導入し、清掃の頻度を増やすことで、スカッフィングによる影響を最小限に抑えることができます。
ダイ肩Rの選定と傷防止
SECCを加工する際に重要なのは、ダイ肩Rの選定です。通常よりも大きいR値を選定することで、曲げ時の圧力が分散され、メッキ層へのダメージを減らすことができます。これにより、メッキ層の剥離を防ぎ、加工時の傷を最小限に抑えることが可能です。
ダイ肩Rの選定は、加工する材料の特性に合わせて調整する必要があります。SECCの場合は、R値を少し大きめに設定することで、表面の傷を防ぎつつ、精度を保つことができます。
材料ごとのクセをデータベース化する方法
材料ごとの「クセ」をデータベース化することで、セットアップ時間を短縮できます。SECCとSPCCでは、曲げ加工の挙動が異なるため、それぞれの材質の特徴をデータベースに保存し、必要な補正値やダイ選定のパラメータを一元管理します。
これにより、異なる材質が使用される際でも、過去のデータをもとに迅速にセットアップを行うことができ、作業効率が向上します。データベース化する際は、曲げ角度、ダイの選定、注油の頻度など、加工に関わる要素を一括で管理することが重要です。
まとめ
SPCCとSECCの曲げ挙動差を解消するためには、補正値の管理、メッキ鋼板特有の粉による精度不良の防止、ダイ肩Rの選定、そして材料ごとのクセをデータベース化して管理することが重要です。これらの方法を取り入れることで、曲げ加工の精度を安定させ、セットアップ時間の短縮にもつながります。


コメント