単位円とベクトルで考える垂心の証明|OPベクトル条件からの幾何的理解

高校数学

単位円上の三点A・B・Cとその中心Oに対し、OP→=OA→+OB→+OC→という条件から、点Pが△ABCの垂心であることを示す問題は、ベクトルと図形の関係を深く理解する良問です。本記事では、この条件がなぜ垂心を意味するのかを整理し、提示された証明方針が論理的に成立しているかを客観的な視点で解説します。

問題の設定と前提条件の整理

まずOを原点とし、単位円上にある点A,B,Cはそれぞれ|OA→|=|OB→|=|OC→|=1を満たします。このときOP→=OA→+OB→+OC→と定められる点Pが、△ABCの垂心であることを示すのが目的です。

単位円という条件から、ベクトルの内積が角度の余弦で直接表せるため、ベクトル計算と三角関数の対応が自然に使える点が重要です。

垂心を特徴づけるベクトル的条件

△ABCの垂心Pであることを示すには、例えばAP⊥BC、BP⊥CA、CP⊥ABのいずれか2組を示せば十分です。ベクトル的には、AP→・BC→=0を証明できればよい、という方針になります。

その意味で、辺BC上に内分点Dを取り、AD⊥BCを示すというアプローチは筋の通った発想です。垂線の定義に忠実であり、座標や三角比に逃げない点も評価できます。

提示された証明の構造と妥当性

質問中の証明では、OD→=sOB→+(1−s)OC→とおき、AD→をOA→,OB→,OC→で表現しています。この時点でベクトルの一次結合として正しく整理されています。

次にAD→とBC→の内積を0と置き、角x,y,zを用いて内積を余弦で表現し、三角形の角の和x+y+z=πを用いて整理しています。この流れは論理的に一貫しており、計算量は多いものの飛躍はありません。

最終的に(AP→・BC→=0)を導いている点から、AP⊥BCが示され、同様の方法でBP⊥CAも示せるため、Pが垂心であるという結論は正しく導かれています。

より簡潔な別解との比較

なお、この問題にはより簡潔な別証明も存在します。例えばOP→=OA→+OB→+OC→より、PA→=OB→+OC→、これとBC→=OC→−OB→の内積を直接計算すると、|OB→|=|OC→|=1を用いて即座に0になることが分かります。

この方法では三角関数を使わずに、ベクトルの基本性質だけで垂心を示せるため、解答としては簡潔です。ただし、質問者の方法は「なぜ0になるか」を構造的に理解できる良い練習になっています。

学習的観点から見た評価

提示された証明は計算量が多く、試験向きではありませんが、論理の積み重ねとしては正しく、数学的にも破綻はありません。特に内積を角度に落とし、三角形の角の和を用いて整理する点は、高度な発想です。

「非効率的ではあるが正しいか」という問いに対しては、「正しく、かつ理解を深める良い証明である」と評価できます。

まとめ:この証明は正しいか

OP→=OA→+OB→+OC→という条件からPが垂心であることを示すにあたり、質問者が示した証明は論理的にも計算的にも正しく成立しています。計算は長いものの、一つ一つの変形に意味があり、数学的厳密さも保たれています。

より簡潔な方法が存在するのも事実ですが、本証明はベクトル・内積・三角関数の関係を総合的に理解する上で非常に価値のあるアプローチといえるでしょう。

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