多くの教科書では、河川などに汚水が流入すると、細菌の呼吸活動によって溶存酸素が減少することが示されています。しかし、細菌はミトコンドリアを持っていないため、解糖系だけで呼吸を行い、酸素をあまり使用しないのではないかと考える方もいます。実際には、細菌の呼吸活動と酸素の利用に関してどのような関係があるのでしょうか?
細菌の呼吸と酸素の利用
細菌にはさまざまな種類があり、それぞれの細菌がどのような呼吸方法を使用するかは異なります。解糖系だけを使う細菌もありますが、酸素を利用する好気性細菌も存在します。
好気性細菌は酸素を使ってエネルギーを生成します。このため、河川や湖に汚水が流れ込むと、これらの細菌が呼吸を行うために酸素を消費し、溶存酸素が減少します。
細菌が酸素を使用するメカニズム
解糖系は酸素がなくてもエネルギーを生成するプロセスですが、酸素を使用する細菌は、酸素を使って効率的にATP(細胞のエネルギー)を生成します。好気性呼吸と呼ばれるこのプロセスでは、酸素を最終的な電子受容体として使い、大量のエネルギーを得ることができます。
また、嫌気性細菌や通性嫌気性細菌も存在し、これらは酸素の有無に関係なく呼吸を行いますが、酸素があると好気的にエネルギーを生成し、酸素がないと解糖系に頼ることがあります。
自然浄化における細菌の役割
自然浄化とは、河川や湖などの水域が自然に汚染物質を分解して浄化される過程を指します。細菌はこのプロセスにおいて重要な役割を果たしており、特に有害物質の分解や酸素の消費に関与します。
例えば、汚水が流れ込むと、そこに含まれる有機物を分解するために細菌が増殖し、酸素を消費します。この過程で溶存酸素が減少し、時には水域内の酸素不足を引き起こすことがあります。
まとめ
「細菌の呼吸によって酸素が消費される」というのは正しいですが、細菌の種類によって酸素の利用方法は異なります。好気性細菌は酸素を使ってエネルギーを生成し、酸素を消費しますが、解糖系を利用する細菌でも酸素の影響を受ける場合があります。自然浄化の過程では、細菌が汚染物質を分解する際に酸素を消費するため、溶存酸素が減少することがあります。


コメント