位相空間論では、集合が開集合か閉集合かを確認することが重要な問題です。この記事では、R^nにおける開集合と閉集合に関する2つの問題を解説します。
1. 開集合の定義と証明方法
まず、開集合の定義を復習します。R^nの中で、ある集合が開集合であるとは、その集合の任意の点が、その点を中心とした十分小さな半径のボールによって集合内に含まれていることを意味します。具体的には、集合内の任意の点xについて、ある半径ε > 0が存在して、B(x,ε) ⊆ Aが成り立つならば、Aは開集合です。
問題の集合{(x1,x2,…,xn) ∈ R^n | xn > 0}について考えます。この集合は、xnが0より大きい点の集合であり、R^n内でxn > 0を満たす点全体を含みます。この集合が開集合であることを示すためには、任意の点(x1, x2, …, xn) ∈ Aについて、その点を中心に小さなボールがAに含まれることを確認します。
2. 証明の具体的な手順
集合A = {(x1,x2,…,xn) ∈ R^n | xn > 0}における任意の点(x1, x2, …, xn)を考えます。この点がAに属していると仮定すると、xn > 0が成り立っています。よって、B(x,ε)というボールが存在して、その中のすべての点がAに含まれることを確認します。
xn > 0なので、εを十分に小さく取ることで、B(x,ε)内の任意の点がxn > 0となり、したがってその点は集合Aに含まれます。このようにして、集合Aが開集合であることが示されます。
3. 閉集合の定義と証明方法
次に、閉集合の定義を確認します。R^nの中で、集合が閉集合であるとは、その集合が自分自身とその集合の境界点を含むことを意味します。すなわち、集合Aが閉集合であるためには、Aの補集合が開集合である必要があります。
問題の集合{(x1,x2,…,xn) ∈ R^n | x1^2 + x2^2 + … + xn^2 ≦ 1}について考えます。この集合は、R^n内の点で、x1^2 + x2^2 + … + xn^2が1以下であるような点全体を含んでいます。この集合が閉集合であることを示すためには、まずこの集合の補集合が開集合であることを確認します。
4. 証明の具体的な手順
集合B = {(x1,x2,…,xn) ∈ R^n | x1^2 + x2^2 + … + xn^2 > 1}を考えます。この補集合は、原点からの距離が1より大きい点全体を含む集合です。この集合の各点について、十分小さなボールがその集合内に含まれることを確認できます。したがって、この補集合は開集合であり、元の集合は閉集合であると結論できます。
5. まとめと結論
今回の問題では、R^n内の集合が開集合であるか閉集合であるかを示す方法を解説しました。集合{(x1,x2,…,xn) ∈ R^n | xn > 0}は開集合であり、集合{(x1,x2,…,xn) ∈ R^n | x1^2 + x2^2 + … + xn^2 ≦ 1}は閉集合であることが示されました。
これらの証明方法を理解することで、位相空間論における基本的な集合の性質をより深く理解できるようになります。
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