「0.999… = 1」とはよく言われますが、この等式が本当に成り立つのか疑問に思う方も多いでしょう。この記事では、0.999…が1である理由について、数学的にわかりやすく解説します。特に、あなたが質問に挙げた数学的帰納法に関して、どこに誤解があるのかを探ります。
0.999…とは何か?
まず、0.999…という数について説明します。0.999…とは、小数点以下に無限に続く9が並んでいる数です。直感的には「0.999…は1より少し小さい」と感じるかもしれませんが、実際には0.999…は1と完全に一致します。これは数学的に証明できます。
0.999…という数が1に等しいことを理解するためには、無限級数の概念を考える必要があります。無限に続く数の合計が有限な値に収束することを理解すれば、0.999…が1であることがわかります。
あなたの論理の誤解について
あなたの質問で提示された数学的帰納法を見てみましょう。「1 – 1 ÷ 10^n < 1」という不等式が成り立つときに、0.999…が1であると矛盾するように思えます。しかし、この部分には重要な誤解が含まれています。
「1 – 1 ÷ 10^n < 1」とは、あくまで「1から何かを引いた値」を考えているわけです。ここでの「1 - 1 ÷ 10^n」は、無限に小さくなっていく値ですが、決して0にはならないという点を見逃している可能性があります。実際、nが無限大に近づくと、1 - 1 ÷ 10^n は「1に収束する」のです。
無限級数と収束
0.999…を理解するためには、無限級数の収束の概念を理解することが重要です。0.999…は、次のように無限級数として表すことができます。
0.9 + 0.09 + 0.009 + 0.0009 + …
これは、最初の項が0.9、次の項が0.09、次が0.009と続きます。この無限級数は、次の数式で表される収束値を持っています。
S = 0.9 + 0.09 + 0.009 + 0.0009 + … = 1
無限級数の収束を求める公式に基づいて、この級数は最終的に1に収束します。つまり、0.999…は1と等しいのです。
直感的に理解する方法
直感的に考えてみましょう。もし0.999…が1より小さいと仮定した場合、1と0.999…の間に差があることになります。その差は非常に小さく、限りなく0に近づくはずですが、決して0にはならないことになります。この考え方をさらに深掘りすると、0.999…は実際に1そのものであることがわかります。
また、もし0.999…が1より小さいなら、次のように証明できます:「1 – 0.999… = x」とし、そのxがゼロでないとすると、1と0.999…の差がゼロではないことになります。しかし、0.999…の定義上、その差は常に0に収束するため、最終的にはx = 0となり、0.999… = 1が確定します。
まとめ
0.999… = 1という等式は、無限級数の収束という数学的な原則に基づいています。あなたが示した数学的帰納法の誤解は、無限に続く数がゼロに近づく過程を正しく捉えていなかったことにあります。無限に続く9が1に収束するという事実を理解すれば、0.999…が1であることは理論的にも実際的にも納得できる結論に至ります。
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