複素関数の中でも、指数関数exp(z)は非常に重要な役割を果たします。特に、複素平面における領域Sの像exp(S)を図示することで、その関数の性質をより深く理解できます。今回は、3つの異なる集合Sに対して、指数関数exp(z)がどのような像を描くかについて解説します。
指数関数exp(z)とは?
指数関数exp(z)は、複素数zに対して定義される関数で、実部と虚部を持つ複素数に適用することができます。exp(z)は、実部がa、虚部がbの複素数z = a + ibに対して、次のように表されます。
exp(z) = exp(a) (cos(b) + i sin(b))
ここで、exp(a)は実数であり、cos(b)とsin(b)はそれぞれbの余弦と正弦です。この式により、exp(z)の像は複素平面上で回転とスケーリングの効果を持つことがわかります。
集合S={z ∈ C | 0 < Re(z) < 1} の像exp(S)
まず、集合S = {z ∈ C | 0 < Re(z) < 1}について考えます。これは、実部が0と1の間にある複素数全てを含む領域です。指数関数を適用すると、実部がaの範囲(0 < a < 1)に対応する部分で、exp(z)の絶対値はexp(a)になります。したがって、exp(S)の像は、半径がexp(0)=1からexp(1) ≈ 2.718の円環の範囲となります。
この領域では、虚部が無限に広がるため、最終的に得られる像は、中心が原点ではなく、半径が指数関数的に拡大する円環となります。
集合S={z ∈ C | |Im(z)| < π/6} の像exp(S)
次に、集合S = {z ∈ C | |Im(z)| < π/6}を考えます。この集合は、虚部がπ/6の範囲に収まる複素数の領域です。この領域に対して指数関数を適用すると、虚部がπ/6に制限されるため、回転角度が-π/6からπ/6の範囲になります。
そのため、exp(S)の像は、実軸に沿った帯状の領域に対応し、この帯状領域は、回転とスケーリングにより、複素平面上において特定の方向に引き伸ばされた楕円になります。
集合S={z = x + iy ∈ C | 0 ≦ x ≦ 1, 0 ≦ y ≦ π/3} の像exp(S)
最後に、集合S = {z = x + iy ∈ C | 0 ≦ x ≦ 1, 0 ≦ y ≦ π/3}を考えます。この集合は、実部xが0から1の間、虚部yが0からπ/3の間にある複素数の領域です。指数関数を適用すると、xの範囲に対応してexp(x)のスケーリングが変化し、yの範囲に対応して複素数の回転が生じます。
この結果、exp(S)の像は、スケーリングと回転を組み合わせた複雑な形となり、回転角度が-π/3からπ/3の範囲で広がる楕円的な領域になります。
まとめ
指数関数exp(z)を複素平面上の特定の集合Sに適用することで、それぞれ異なる形状の像が得られます。具体的には、実部が一定の範囲にある場合、指数関数は円環状の像を生成し、虚部に制限がある場合は帯状または楕円形の像を得ることができます。
このような図を理解することは、複素関数の解析において非常に有用です。指数関数による像の変換を視覚的に確認することで、複素平面での変換の影響をより深く理解することができます。
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