統計学の問題で出題される、正規分布に関する確率計算や、母平均に関する仮説検定の解き方を詳しく解説します。ここでは、2つの問題を順を追って解説します。
1. 正規分布に基づく確率の計算
まず、与えられた確率変数Xが平均30、標準偏差10の正規分布に従っている問題に取り組みます。以下の問いに答えるための解き方を順番に見ていきましょう。
1.1 確率変数Xが36以上の値をとる確率
確率変数Xが36以上の値をとる確率を求めます。正規分布の標準化を行い、z値を計算し、標準正規分布表を使用して確率を求めます。まず、z値は次の式で計算されます。
z = (x – μ) / σ = (36 – 30) / 10 = 0.6
次に、z = 0.6に対応する標準正規分布表の値を使い、P(X ≥ 36) を求めます。
1.2 確率変数Xが36以下の値をとる確率
次に、Xが36以下の値をとる確率です。これは、P(X ≤ 36) = P(Z ≤ 0.6) という形で求めます。標準正規分布表を使って、確率を計算します。
1.3 確率変数Xが26以上36以下の値をとる確率
次に、Xが26以上36以下の範囲にある確率を求めます。まず、z値を計算します。
z₁ = (26 – 30) / 10 = -0.4, z₂ = (36 – 30) / 10 = 0.6
その後、P(26 ≤ X ≤ 36) = P(-0.4 ≤ Z ≤ 0.6)を求め、z値に対応する確率を計算します。
1.4 確率変数Xの上側5%点
上側5%点は、正規分布の上位5%に対応するxの値を求める問題です。これは標準正規分布の逆の操作を用いて求めます。上側5%のz値は1.645です。これを使ってxの値を求めます。
x = μ + zσ = 30 + 1.645(10) = 46.45
したがって、上側5%点は約46.45です。
2. 母平均に関する検定
次に、S市の小学生の読書時間に関するデータを用いて、母平均に関する検定を行います。無作為に64人の小学生を調査したところ、平均読書時間が6.5時間で、標準偏差が0.4時間でした。これが従来の平均値6時間より長くなったかを検定します。
2.1 帰無仮説と対立仮説の設定
まず、帰無仮説と対立仮説を設定します。帰無仮説は、S市の小学生の読書時間は従来の平均6時間と変わらないというものです。対立仮説は、読書時間が従来より長くなったというものです。
帰無仮説:μ = 6
対立仮説:μ > 6
2.2 標本平均の標準化
標本平均を標準化してT値を求めます。Tの分布は、母分散が未知の場合、t分布に従います。標準化の公式は以下の通りです。
T = (x̄ – μ) / (s / √n) = (6.5 – 6) / (0.4 / √64) = 1.25
2.3 臨界値の計算
次に、臨界値を求めます。5%の有意水準で片側検定を行う場合、t分布の表を用いて臨界値は約1.67です。
2.4 Tの実現値
上で求めたTの実現値は1.25です。
2.5 検定結果
Tの実現値1.25は臨界値1.67より小さいため、帰無仮説は棄却されません。つまり、読書時間が従来より長くなったとは言えません。
2.6 結論
検定の結果、S市の小学生の読書時間は従来より長くなったとは言えないという結論になります。
3. まとめ
今回の問題では、正規分布の確率計算と母平均に関する検定の2つのテーマについて解説しました。計算過程をしっかりと踏まえて解くことで、統計学の基礎的な問題を理解することができます。
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