NHKのアインシュタイン特集番組で「宇宙は平たんで無限に広がっている」と紹介されたことについて、疑問を持つ人も多いかもしれません。特に、「無限に広がっている」と「有限に閉じている」という言葉の違いが重要なポイントです。この記事では、この疑問に答え、宇宙の形についての理解を深めるために、現代の宇宙論的な見解を解説します。
1. 宇宙の「無限に広がっている」という理解
現代の宇宙論によれば、「宇宙は無限に広がっている」という表現は、ビッグバンから現在に至るまで、宇宙が膨張し続けているという事実に基づいています。この膨張が続く限り、宇宙は時間とともに無限に広がり続ける可能性があります。
しかし、「無限に広がっている」という言葉の使い方には注意が必要です。これは、宇宙が現在も膨張しており、今後もその膨張が続くという意味であって、必ずしも「無限の広がりを持っている」という形での無限を示すものではありません。
2. 「平たんで無限に広がっている」とは何か?
番組で言われていた「宇宙は平たんで無限に広がっている」という表現は、実際には宇宙の構造に関する理論的な説明です。ここで「平たん」とは、宇宙の大規模構造が均等に広がっているという意味です。空間が歪んでいない、または非常に均質であるという意味で使われることが多いです。
ビッグバンモデルやインフレーション理論に基づけば、宇宙は膨張を続けており、この膨張により全体が均等に広がっている状態が保たれていると考えられています。これにより、宇宙は「平たん」で「無限に広がっている」と言われるのです。
3. 宇宙は「パンケーキ型」で有限なのか?
一方で、「パンケーキ型で有限に閉じている」という考え方もあります。これは、宇宙がある一定の範囲で膨張を続け、最終的にその膨張が止まり、また収縮するというシナリオを指します。このようなモデルでは、宇宙の形は有限であるものの、その端には果てがないという特徴を持っています。
このモデルは、宇宙の膨張が時間と共に減速し、最終的に収縮に転じる可能性を考えたもので、古典的な宇宙論の一つです。しかし、現在の観測結果(例えば、遠くの超新星の明るさなど)から、膨張が加速していることが分かっており、このモデルは現代の宇宙論においては採用されていません。
4. 現代の宇宙論と「果てのない宇宙」
現在、最も支持されている宇宙論のモデルは、膨張が加速し続けるというものです。インフレーション理論と呼ばれるものに基づくと、宇宙は「無限に広がっている」という見解が支持されています。これは、膨張が非常に急速であり、現在も加速し続けていることから、宇宙の端が存在しない、または果てしなく広がるという理論です。
この膨張は、空間そのものの広がりであり、物質が広がっているわけではないことを理解することが重要です。宇宙が膨張しても、その中の星や銀河は空間の中で位置を変え続けますが、全体としては拡大し続けているのです。
まとめ
「宇宙は無限に広がっている」というのは、現代の宇宙論における膨張宇宙モデルに基づく理解です。これは、ビッグバンから現在に至る膨張が続き、今後も無限に広がり続ける可能性を示唆しています。一方で、「パンケーキ型で有限に閉じている」という考え方もありますが、現代の観測結果では、膨張が加速していることが明らかとなっており、こちらのモデルは現在では支持されていません。宇宙の「無限に広がる」特性は、膨張が続いている現実に基づいた理論として、今後もその理解が深まることが期待されています。
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