「な来そ」の和歌における用法と掛詞の解説

日本語の和歌における表現や言葉の使い方は、しばしば日常会話とは異なる特殊なルールに基づいています。特に「な＋動詞連用形＋そ」という形が使われる場面では、文法的に意味が変わることがあります。今回は、「な来そ」の表現について解説し、その背景にある掛詞の用法について考えてみましょう。

1. 「な来そ」の構造とその意味

「な＋動詞連用形＋そ」は、一般的に「〜するな」という意味で使われますが、和歌における「な来そ」では、掛詞としての役割が強調されています。ここで「来（こ）」は、動詞「来る」の連用形であり、「こそ」と組み合わせることで、意味を強調する表現になります。

掛詞とは、同音異義語を利用して、異なる意味を同時に表現する技巧のことです。和歌においては、この技法を使って、言葉に深みや余韻を持たせることがよくあります。例えば、「来（こ）」と「来（き）」を掛けることで、文字通りの「来る」だけでなく、語呂合わせや音の響きによる意味の広がりを持たせるのです。

「な来そ」が「な来（き）そ」とならない理由は、和歌における音の響きとその意味の強調のためです。「来（き）」ではなく「来（こ）」を使うことで、音の流れがより滑らかになり、韻を踏む役割も果たします。また、「こそ」の表現が強調を意味するため、和歌のリズムにおいて重要な役割を果たすのです。

和歌における「な来そ」の使用例を挙げると、例えば「な来そ、我が心のこそ」を意味深く解釈することができます。このような表現は、単なる動作や命令を超えて、感情や情景の一部として解釈されることが多いです。掛詞を利用することで、言葉の意味が深く掘り下げられ、読み手に多層的な印象を与えることができます。

「な来そ」とは、和歌における掛詞を駆使した表現の一例であり、その用法を理解することで、和歌に込められた意味や技巧をより深く味わうことができます。このような言葉の使い方は、ただの文法的な理解にとどまらず、言葉の音や響きが持つ力を感じ取ることが重要です。