C^r級多様体におけるはめ込みの性質の証明

大学数学

今回は、C^r級多様体におけるはめ込み(embedding)に関する問題を解説します。具体的には、コンパクトなn次元連結C^r級多様体Mと、C^r級写像f: M → Nがはめ込みであるとき、次の主張について証明します。

問題の条件と目標

与えられた問題の条件は以下の通りです。

  • (i) fは全射であること。
  • (ii) 任意のy ∈ Nに対して、f⁻¹(y)が有限集合であり、その個数はyに依存せず一定であること。

これらの条件がなぜ成立するのかを証明します。

はめ込みの基本的な性質

まず、はめ込みとは、ある多様体Mが別の多様体Nに写像される際、その写像が「局所的に同相」を保つことを意味します。つまり、Mの任意の点近傍が、Nの点近傍と一対一対応しているということです。C^r級写像fがはめ込みである場合、その写像は連続であり、さらに微分可能でその逆写像も適切に定義されます。

証明の第一部:fが全射である理由

条件(i)から、fが全射であることを示します。fが全射であるとは、任意のy ∈ Nに対して、あるx ∈ Mが存在してf(x) = yとなることを意味します。はめ込みの性質により、fは接続性を保持し、かつMがコンパクトであるため、fの像もN内で適切に全ての点に対応します。

証明の第二部:f⁻¹(y)が有限集合でその個数が一定である理由

次に、条件(ii)について考えます。y ∈ Nに対して、f⁻¹(y)が有限集合であり、その個数がyに依存せず一定であることを示します。Mがコンパクトであるため、f⁻¹(y)は有限個の点を持ち、各yに対してその個数は変わらないことが分かります。これは、写像fが局所的に一対一対応を保ちながらも、複数の点が同じyに対応する可能性を持つためです。

まとめ

以上の証明から、C^r級多様体MからNへのはめ込みfが全射であり、任意のy ∈ Nに対してf⁻¹(y)が有限集合であり、その個数がyに依存せず一定であることが示されました。これにより、はめ込みの性質が多様体における重要な性質であることが確認できました。

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