弱酸の水溶液で、酸が水に溶けるときに水素イオン[H+]が生成されます。このとき、弱酸は完全には解離せず、一部は未解離のままとなります。ここでは、なぜ弱酸の[H+]濃度がcαと考えられるのか、その理由を簡単に解説します。
弱酸の解離度とcαの関係
弱酸が水に溶けると、酸は部分的に解離して水素イオン[H+]とその共役塩基を生成します。ここで、cは酸の初濃度、α(アルファ)は酸の解離度を示します。解離度αは酸の解離がどの程度進んでいるかを示す値で、0から1の間の値をとります。例えば、強酸ではαはほぼ1となりますが、弱酸ではαは1より小さくなります。
解離度αとは何か?
解離度αは、酸が水に溶けた際に解離する割合を表します。例えば、弱酸HAが水に溶けると、次のような平衡反応が成立します。
HA ⇌ H+ + A-
この反応で、酸HAが解離した水素イオン[H+]の濃度は、初めに加えた酸の濃度cに解離度αを掛けた値、すなわちcαとして計算できます。これが、[H+]の濃度がcαと考えられる理由です。
なぜ弱酸で[H+] = cαで良いのか?
弱酸の場合、酸の解離が非常に少ないため、ほとんどが未解離のHAとして存在します。このため、[H+]の濃度はほぼα倍の値となり、cαと考えることができます。これが理由で、弱酸溶液では酸の濃度cと解離度αを掛けた値で[H+]を近似的に表現することができるのです。
まとめ
弱酸の水溶液において[H+]の濃度がcαと考えられるのは、酸の解離度αが水溶液内での解離する水素イオン[H+]の割合を示すからです。この近似は、解離度が小さい弱酸で特に有効であり、実際の化学反応において非常に便利な方法となります。
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