「源氏物語」の「宿木」から、文法的な疑問について解説します。特に、「ともかくもご覧ずる世にや思ひ定めましと思しよるには、」の「や」が係り結びの疑問だと思ったが、実際にはどう解釈するのか、という点について詳しく掘り下げていきます。
源氏物語「宿木」の文法解析
まず、「ともかくもご覧ずる世にや思ひ定めましと思しよるには、」という文章の「や」の使い方について見ていきます。古文における「や」は、疑問の意味で使われることが多いですが、この文章ではその用法について疑問を感じる方も多いかもしれません。
「や」が係り結びの疑問であるかどうかは、文脈によって異なります。ここでは、係り結びとして「や」が使われているのではなく、疑問の助詞としての「や」が用いられていると解釈できます。
係り結びとは?
係り結びとは、助詞や助動詞が文末の動詞や形容詞にかかって、文全体の意味を強調するものです。日本語の古文では、疑問を表す際に「や」や「か」が使われますが、この場合、「や」は疑問の意味であり、係り結びとしての用法ではありません。
つまり、この文章では、「ともかくもご覧ずる世にや」という部分が「ご自身のご在位中には、ご縁を決めてあげたいというお思いがあるのだろうか?」という疑問のニュアンスを表していると言えます。文の中で「や」が疑問として使われ、文章全体の流れとしては肯定的な意図が感じられるため、係り結びではなく疑問を強調している形になります。
「や」の係り結びではない理由
「や」の使い方が係り結びでない理由は、この場合の「や」が疑問の意図を伝えるために使われているからです。係り結びは、助詞「や」が名詞や動詞にかかって強調する形を取りますが、この文の場合、「や」はそのような強調を目的とせず、単なる疑問の助詞として機能しています。
また、文脈的に見ると、疑問として解釈する方が自然であり、係り結びを無理に当てはめると文章の意味が不明瞭になるため、この場合の「や」は疑問を示す助詞として解釈する方が適切です。
この文の訳について
「ともかくもご覧ずる世にや思ひ定めましと思しよるには、」の訳は、「ともかくご自身のご在位中にはご縁を決めてあげたいものとお思いよりになると」となります。この場合、「や」が疑問の助詞として使われており、意味としては「そのようにお考えになるのだろうか?」というニュアンスが含まれています。
一方で、質問者が考えた訳「決めてあげたいとお思いになるためだろうか」とは少しニュアンスが異なり、文脈にぴったり合う訳を探すことが大切です。文脈から考えて、疑問の意図をしっかりと読み取ることが重要です。
まとめ
源氏物語「宿木」の文の「や」は係り結びではなく、疑問を示す助詞として解釈することが適切です。文脈をよく理解し、文法的なニュアンスを反映させることが、古文を正しく解釈するための鍵となります。疑問の助詞「や」の使い方について学ぶことで、古文の理解が深まります。
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