モーゲンソーのリアリズムは国際関係における現実主義的なアプローチを示しており、政治的現実を如何に理解し、対応するかに焦点を当てています。この理論は特に道徳的な善悪二元論を越え、複雑で多面的な現実世界に目を向ける必要性を訴えています。
1. モーゲンソーのリアリズムの6つの原則
モーゲンソーによるリアリズム理論は、国際政治における国家の行動を理解するための基盤として以下の6つの原則を提唱しています。
- 国家は国際政治の中心的存在:国際政治において国家は最も重要なアクターであり、その利益が決定的な役割を果たす。
- 国家の利益は権力の維持:国家はその安全保障を確保するために権力を維持・拡大しようとする。
- 国家行動は現実的に評価されるべき:理想主義ではなく、実際の権力バランスと状況に基づく判断が必要。
- 国際政治は無政府状態:国際社会には上位の権力が存在しないため、国家間には無政府状態が広がっている。
- 権力バランスが国際秩序を形成:世界の安定は、各国間の権力バランスによって保たれる。
- 倫理や道徳は相対的:道徳的基準は普遍的ではなく、国際政治の現実に合わせて相対的に評価されるべき。
2. ネガティブケイパビリティの概念
モーゲンソーのリアリズムを理解する上で「ネガティブケイパビリティ」の概念は非常に重要です。これは、国際政治において一つの正解を求めるのではなく、複雑で予測不可能な状況を受け入れる能力を意味します。善悪の二元論に囚われることなく、現実的な対応が求められるのです。
3. 善悪二元論とリアリズム
善悪二元論に陥ると、国家の行動や国際政治の複雑さを単純化し、誤った判断を下しがちです。モーゲンソーは、道徳的判断が国家行動にどのように影響するかを問い、現実的な枠組みで問題にアプローチする必要性を強調します。
4. モーゲンソーと理想主義の対立
モーゲンソーのリアリズムは理想主義と対極を成します。理想主義では、道徳や理想が重視されるのに対して、リアリズムはその現実性、特に国家間の権力闘争や無政府状態を前提にしています。理想と現実の違いを理解することが重要です。
まとめ
モーゲンソーのリアリズムは、国際政治を理解するために非常に有効な枠組みを提供します。ネガティブケイパビリティの概念を受け入れ、善悪二元論に陥らないことが、現実的な政治判断には不可欠です。理論を深く理解し、実際の国際政治にどう適用するかを学ぶことが重要です。
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