銀河系には2000億個の恒星があるのに夜空が暗い理由を解説

銀河系には2000億個もの恒星が存在すると言われていますが、実際に夜空で見える星は非常に少ないです。この不思議な現象については、「オルバースの逆説」と呼ばれる問題が関係しています。この記事では、この逆説とその背後にある理由を解説し、夜空が暗い理由を科学的に説明します。

1. オルバースの逆説とは？

オルバースの逆説とは、宇宙に無数の恒星があるのに、どうして夜空が暗いのかという問題です。もし宇宙全体が無限に広がっているとすれば、すべての方向に恒星があるはずで、夜空は常に明るくなければならないという疑問です。

この問題は、18世紀の天文学者ヘンリー・オルバースによって提起されました。彼の問いかけから、この逆説は広く知られるようになりました。

オルバースの逆説に対する解答の一つは、宇宙が膨張していることです。現在、宇宙は光速を超える速度で膨張しており、遠くの恒星から発せられた光は地球には届きません。これは「宇宙の膨張による赤方偏移」という現象に関連しています。

この膨張のため、遠くの星々は私たちからどんどん遠ざかり、その光が私たちのところに届くことはなくなります。したがって、理論上は無限にあるはずの恒星も、地球から見ることができないのです。

赤方偏移は、遠くの恒星からの光が私たちに届くまでの距離によって、光の波長が伸びる現象です。この現象により、もともと可視光線であった光が、赤外線などの目に見えない波長に変わってしまいます。

そのため、私たちの目に届く光は、もともと近い場所にある恒星からのものに限られ、非常に遠くにある星々の光はほとんど見ることができません。

銀河系内の2000億個の恒星がなぜ見えないのかについては、膨張以外にもいくつかの要因があります。まず、星々は非常に遠くにあり、空間的に広がっているため、私たちの目にはわずかな数の星しか見えません。

また、地球の大気や光害（都市の明かりなど）も、私たちが見ることのできる星の数を制限しています。肉眼で見える星はほんの一部に過ぎず、その多くは望遠鏡を使用して初めて確認できるものです。

銀河系内に2000億個もの恒星が存在しているにも関わらず、夜空が暗い理由は、宇宙の膨張と赤方偏移、そして地球からの距離や光害にあります。これらの要因が複合的に作用することで、私たちが見ることのできる恒星の数は限られており、夜空は暗いままであるというわけです。