Modbus RTUでの擬似スター結線：複数フィールド機器の通信設計

Modbus RTUを使用して複数のフィールド機器と通信する際、通常はディジーチェーン接続が推奨されます。しかし、配線ルートによっては実現が難しいこともあります。この記事では、擬似スター結線の可能性について詳しく解説し、実際の設計での留意点を紹介します。

1. Modbus RTUとディジーチェーン接続

Modbus RTUは、フィールド機器とマスターデバイス間でのデータ通信を行うためのプロトコルです。通常、デバイスはディジーチェーンで接続され、マスターが全てのスレーブ機器を順番に管理します。しかし、配線ルートによっては、この方法が難しい場合があります。

擬似スター結線では、マスターコントローラーからフィールド機器へのケーブルが2ペアで設置され、物理的には「行き」と「戻り」の2本のケーブルがそれぞれ敷設されます。この方法では、複数のデバイスが異なるルートで接続され、従来のディジーチェーンとは異なった接続方式になります。

擬似スター結線は理論的には可能ですが、ケーブルの長さや信号の遅延、ノイズの影響などがデメリットとして挙げられます。特に、ケーブル長が半分になるという点については、信号の減衰や通信速度への影響を受ける可能性があります。実際の設計では、これらの要素を考慮する必要があります。

擬似スター結線の実績は少ないものの、特定のシステムではこの構想を適用したケースも存在します。信号の安定性や通信の確実性を確認するために、システム全体のテストを行うことが重要です。また、システムの設計や環境によっては、デバイスの配置を最適化することで問題を解決できる場合もあります。

擬似スター結線は、Modbus RTUシステムでの配線ルートに制限がある場合の有力な選択肢ですが、実際に使用する際には信号の減衰やケーブル長による影響を慎重に評価する必要があります。各システムでの実装可否は、設計段階での検討と実験に基づいて決定することが重要です。