統計学では、標本平均と標本比率がそれぞれ正規分布に従うことが知られています。特に、これらの関係について疑問を持つことがよくあります。この記事では、その疑問について解説し、標本平均と標本比率の正規分布の違いとその関係についてわかりやすく説明します。
1. 標本平均が従う正規分布
標本平均が従う正規分布N(m, σ²/n)は、母集団の平均(m)と標準偏差(σ)をもとにした分布です。ここで、nは標本のサイズを示し、標本平均の分布の分散が母集団の分散σ²をnで割った値となることが特徴です。この分布は、中央極限定理によって、サンプル数が増えると正規分布に近づきます。
2. 標本比率が従う正規分布
標本比率が従う正規分布N(p, p(1-p)/n)は、母集団の比率pを基にした分布です。ここで、pは母集団におけるある事象の確率、nは標本のサイズを示します。標本比率の正規分布の平均はpであり、分散はp(1-p)/nです。
3. 平均と分散の変換について
質問の中で「標本平均をnで割ったなら、分散はn²で割らないと同値変形にならないのでは?」という疑問がありますが、この問題に対する答えは、分散の計算式をよく理解することが重要です。標本平均が従う正規分布の分散はσ²/nですが、標本比率の正規分布の分散はp(1-p)/nとなっており、ここでは分散がnで割られています。したがって、標本平均と標本比率は、どちらもnで割られるので同じ変換が行われます。
4. まとめ
標本平均と標本比率がそれぞれ正規分布に従うことについて、平均と分散の関係が似ている点が多いですが、実際には微妙な違いがあります。標本平均が従う正規分布N(m, σ²/n)と標本比率が従う正規分布N(p, p(1-p)/n)は、nで割ることで同様の形式に変換できるため、結論としては両者は同じ原理に基づいています。
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