「お酒が飲めない」と言う人々に対して、体質的な違いや努力が足りないという見方がされることがあります。しかし、実際にはお酒に強い体質や弱い体質、またはお酒を飲むことができない理由は遺伝的な要因が大きいことが分かっています。
1. ALDH2遺伝子型とお酒に対する体質
ALDH2(アルデヒド脱水素酵素2型)は、アセトアルデヒドを分解する重要な酵素です。日本人を含むアジア人の一部は、ALDH2が活性型(NN型)と低活性型(ND型)、不活性型(DD型)という3つの遺伝子型を持っています。ALDH2が活性型の人はお酒に強いとされ、逆に低活性型や不活性型の人はアルコールを摂取するとフラッシング反応が起こりやすいです。
- NN型:お酒を飲んでも酔いにくい。
- ND型:お酒を飲むと顔が赤くなりやすい。
- DD型:アルコールがほとんど摂取できない。
2. 日本人におけるALDH2活性型の割合
研究によると、日本人におけるALDH2活性型(NN型)の割合は約56%〜60%であり、これがいわゆる「お酒に強い体質」を持つ人々です。残りの約40%〜44%は、ND型やDD型に該当し、お酒に弱い、または飲むことができない体質の人々です。
特に、20代〜30代の女性においてもNN型が60%程度に達しており、お酒を飲んでも顔色が変わりにくく、酔いにくい体質を持つ人が多いことが分かっています。
3. 飲める体質と飲めない体質の違い
「お酒が飲めない」という理由には、遺伝的な体質に加えて、アレルギー反応や身体的な制限も関係しています。お酒を摂取した際に顔が赤くなり、体調不良を起こすのはALDH2が低活性型または不活性型であるためです。
- ALDH2活性型(NN型):アセトアルデヒドが速やかに分解され、アルコール摂取に強い体質。
- ALDH2低活性型(ND型)や不活性型(DD型):アセトアルデヒドが体内に蓄積し、顔が赤くなり、酔いやすくなる。
4. 努力で飲める体質に変わる?
お酒に強くなるためには、体質的にALDH2の活性型を持っていない限り、完全に「鍛える」ことは難しいと言われています。アルコール摂取量を増やしていくことで、ある程度の耐性を得ることはできますが、根本的にALDH2が不活性型であれば、酔いやすさは改善されません。
また、「お酒を強くするための努力」は個々の体質に合わせたものであり、遺伝的な要因が大きいことを考慮する必要があります。社会的なプレッシャーや「飲めないことの恥ずかしさ」を感じることがないように、無理なく自己管理することが重要です。
まとめ
お酒が飲める体質と飲めない体質の違いは、主に遺伝的な要因によるものです。ALDH2活性型の体質を持つ人はアルコールに強く、低活性型や不活性型の人は飲むことが難しい場合があります。飲み会で「お酒が飲めない」と言う人々に対して、無理に飲ませることは避け、個人の体質を尊重することが大切です。
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