16世紀から17世紀のイギリス文学では、社会的に求められた「貞節・従順・寡黙」といった女性像から逸脱する女性が、しばしば否定的に描かれたり嘲笑の対象となった事例がいくつかあります。本記事では、そうした文学作品の例を紹介し、当時の女性像や社会の価値観を探ります。
1. 16世紀・17世紀のイギリスにおける女性像
16世紀から17世紀のイギリス社会では、女性に対して非常に厳格な道徳観が求められました。特に、貞節、従順、そして寡黙という特徴が女性に理想とされ、これから外れる行動や態度はしばしば社会的に問題視されました。文学作品においても、このような理想から逸脱する女性は、批判的または否定的に描かれることが多かったのです。
2. シェイクスピア『テンペスト』の例
シェイクスピアの『テンペスト』では、ヒロインであるミランダが、その従順さや素直さが評価される一方で、父親であるプロスペローに対して盲目的に従い、自己決定権をほとんど持っていないことが描かれています。しかし、彼女の従順な姿勢は、同時にその欠点として描かれることもあります。このように、従順さが理想でありながら、それが限度を超えると物語の中で他者からの評価に繋がることを示唆しています。
3. ジョン・ミルトン『楽園追放』の例
また、ジョン・ミルトンの『楽園追放』でも、女性キャラクターであるエヴァが非常に重要な役割を果たしますが、彼女の行動が「従順」でありながらも、時に自分の意志を表に出すことで問題視されるシーンが描かれています。彼女の自由意志に対する抵抗は、当時の社会における女性の立場と深く関連しており、物語の中での彼女の行動には批判的な視点が絡みます。
4. まとめ
16世紀から17世紀のイギリス文学において、理想的な女性像は「貞節・従順・寡黙」といった特性を備えたものであり、それから逸脱する女性キャラクターはしばしば否定的に描かれました。シェイクスピアやミルトンの作品に見られるように、女性キャラクターが自己主張や独立性を見せることは、当時の社会における女性の理想的な立場に対する挑戦として扱われることが多かったのです。
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