確率変数の期待値や分散、標準偏差を求める際、確率変数が変換されるときにはどのような法則が適用されるのでしょうか。この記事では、与えられた確率変数の変換に関して期待値、分散、標準偏差を計算する方法を解説します。
基本的な法則と計算方法
期待値や分散、標準偏差は確率変数に関する基本的な統計量です。確率変数Xに対して、期待値E(X)、分散V(X)、標準偏差はそれぞれ以下のように定義されます。
1. 期待値:E(X) は確率変数Xの平均的な値を示します。
2. 分散:V(X) は確率変数Xの値のばらつきの大きさを示します。
3. 標準偏差:標準偏差は分散の平方根で、ばらつきの度合いをより直感的に示します。
期待値、分散、標準偏差の変換ルール
確率変数が変換されたときに期待値、分散、標準偏差を計算する際のルールは以下の通りです。
- 【期待値の変換】:E(aX + b) = aE(X) + b
ここで、a は定数、b は加算定数です。 - 【分散の変換】:V(aX + b) = a²V(X)
分散は定数bの影響を受けませんが、定数aによって2乗されます。 - 【標準偏差の変換】:σ(aX + b) = |a|σ(X)
標準偏差は定数bの影響を受けませんが、定数aによってスケールされます。
問題の解法: 変換後の期待値、分散、標準偏差
与えられた条件として、確率変数Xの期待値がE(X) = 7/2、分散がV(X) = 35/12、標準偏差がσ(X) = √105/6です。この情報をもとに、次の変換に対する期待値、分散、標準偏差を計算します。
【1】X + 4 の場合
まず、期待値を計算します。
E(X + 4) = E(X) + 4 = 7/2 + 4 = 15/2
次に分散を計算します。
V(X + 4) = V(X) = 35/12(加算は分散に影響しません)
標準偏差も同様に計算します。
σ(X + 4) = σ(X) = √105/6(加算は標準偏差に影響しません)
【2】−2X の場合
期待値を計算します。
E(−2X) = −2E(X) = −2 × 7/2 = −7
次に分散を計算します。
V(−2X) = 4V(X) = 4 × 35/12 = 140/12 = 35/3
標準偏差も計算します。
σ(−2X) = 2σ(X) = 2 × √105/6 = √420/6
【3】3X − 2 の場合
期待値を計算します。
E(3X − 2) = 3E(X) − 2 = 3 × 7/2 − 2 = 21/2 − 2 = 17/2
次に分散を計算します。
V(3X − 2) = 9V(X) = 9 × 35/12 = 315/12 = 105/4
標準偏差も計算します。
σ(3X − 2) = 3σ(X) = 3 × √105/6 = √945/6
まとめ
確率変数が変換される場合、その期待値、分散、標準偏差は上記のルールに従って計算できます。特に定数の加算は期待値に影響を与えますが、分散や標準偏差には影響を与えません。定数の乗算は分散や標準偏差にスケールをかける効果があります。
このような変換を理解しておくことで、確率変数に関する問題を効率よく解くことができるようになります。
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