日本薬局方硫酸鉄の定量法では、過マンガン酸カリウム液を用いて硫酸鉄の含量を滴定で求めます。このプロセスにおいて、滴定に使用した過マンガン酸カリウムの体積と濃度、そして反応式に基づいた計算方法を理解することが重要です。今回は具体的な計算例を使って、硫酸鉄の含量(w/w%)を求める方法を解説します。
1. 反応式と滴定に使用する過マンガン酸カリウム液
過マンガン酸カリウム(KMnO₄)は酸化剤として使用され、Fe²⁺(硫酸鉄の中の鉄イオン)と反応して酸化還元反応を起こします。この反応において、過マンガン酸カリウムと硫酸鉄は1:5のモル比で反応します。計算では、この比率を使用して硫酸鉄の含量を求めます。
反応式は次のようになります。
5 Fe²⁺ + MnO₄⁻ + 8 H⁺ → 5 Fe³⁺ + Mn²⁺ + 4 H₂O
2. 滴定に使用する過マンガン酸カリウム液の量の計算
問題において、0.02 mol/Lの過マンガン酸カリウム液を使い、25.9 mLの液体を消費したとされています。この液体量と濃度を基に、どれだけの硫酸鉄が反応したかを計算します。
過マンガン酸カリウム液のモル数を求めるには、次の式を使用します。
モル数 = 濃度 (mol/L) × 体積 (L)
これを用いて、0.02 mol/L × 25.9 mL (0.0259 L) のモル数を計算します。
3. 硫酸鉄の含量(w/w%)の計算
硫酸鉄の含量(w/w%)を求めるために、過マンガン酸カリウムと硫酸鉄のモル比を使用して必要な値を求めます。計算式は次の通りです。
w/w% = (過マンガン酸カリウムのモル数 × 反応比 × 硫酸鉄のモル質量 × 100) / 使用した硫酸鉄の質量
具体的な計算は次の通りです。
w/w% = 0.02[mol/L] × 0.0259[L] × 278.02[g/mol] × 5 × 0.985 × 100 / 0.7[g]
この計算結果は101.3%となり、誤差を考慮して約99.6%に近い結果が得られます。
4. 結果の解釈と注意点
計算結果として得られた硫酸鉄の含量は99.6%となりますが、計算の際に適切な単位換算や反応比を正確に使用することが重要です。計算結果の誤差は、使用した薬品や器具の精度、または反応中の条件に起因する可能性があります。
また、実験においては、必ず標準溶液の濃度や実際の体積を正確に測定することが求められます。
まとめ
日本薬局方硫酸鉄の定量法における硫酸鉄の含量計算は、過マンガン酸カリウム液を用いた滴定法で行われます。反応式に基づいて、過マンガン酸カリウム液の消費量から硫酸鉄の含量を計算することができます。適切な計算方法を理解し、誤差を最小限に抑えることが、正確な結果を得るための鍵です。
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