DCモーターをPWM制御で制御する際に、突入電流(インラッシュカレント)を抑える方法について考えることは重要です。特にモーターの始動時に発生する高い電流は、電源や回路に負担をかける可能性があるため、これをうまく制御することが求められます。この記事では、PWM制御を使ってDCモーターの突入電流を抑える方法と、その効果について解説します。
1. PWM制御とは?
PWM(Pulse Width Modulation)制御とは、モーターの速度を調整するために、電源のONとOFFのパルス幅を変化させる方法です。モーターに供給される平均電圧を調整することで、モーターの回転速度をコントロールします。この方法は効率的で、モーターの制御に広く利用されています。
PWM制御では、モーターへの電力供給が断続的であるため、モーターの速度を連続的に制御することができます。しかし、始動時には一時的に高い電流が流れることが問題となる場合があります。
2. 突入電流(インラッシュカレント)とは?
突入電流とは、モーターが停止している状態から回転を始める際に、瞬間的に流れる高い電流のことです。この電流は、モーターが回転を始める初期の段階で発生し、通常の運転電流よりも大きくなることがあります。突入電流が高いと、電源やモーターの保護回路が作動することがあります。
PWM制御を使用しても、始動時には突入電流を完全に抑えることは難しいですが、制御方法によってはその影響を軽減することができます。
3. PWM制御で突入電流を抑える方法
PWM制御を使用して突入電流を抑えるためには、以下のような方法が考えられます。
- ソフトスタート機能の活用:PWM制御の際に、モーターの始動電圧を徐々に上げることで、突入電流のピークを低減することができます。
- デューティサイクルの調整:始動時に低いデューティサイクルでモーターに電流を供給し、徐々にデューティサイクルを増やしていくことで、突入電流を抑えることが可能です。
- スムージング回路の使用:PWM制御による出力波形を平滑化するために、キャパシタンスを利用したスムージング回路を組み合わせると、急激な電流変動を抑えることができます。
これらの方法を組み合わせることで、モーターの始動時における突入電流を効果的に抑制することができます。
4. PWMのパルス幅で突入電流が流れるか?
PWM制御での僅かなパルスでも、突入電流が流れるかどうかについての疑問ですが、答えは「はい」です。たとえPWM信号が小さなパルスであっても、モーターに供給される電力のピークが高ければ、瞬間的な突入電流は依然として発生します。
PWMのパルス幅が非常に短くても、モーターが開始する際には一時的に高い電流が流れることがあります。特にモーターが無負荷の状態で始動すると、この突入電流が顕著になることが多いです。
5. まとめ
DCモーターの始動時に発生する突入電流は、PWM制御を使っても完全に抑えることは難しいですが、制御方法を工夫することでその影響を減らすことができます。ソフトスタートやデューティサイクルの調整、スムージング回路の導入など、複数の手法を組み合わせることで、よりスムーズなモーターの始動が可能となります。
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