ジュリアーノ・ダ・エンポリ著『ポピュリズムの仕掛人』の54頁15行目に登場する「ディマイオにせよ誰にせよ、『五つ星運動』の主導権を握りたいのなら、データは欠かせない」という一文について、ディマイオの人物像、五つ星運動の主導権を巡る動き、そして「データ」の具体的な意味について詳しく解説します。
ジュゼッペ・ディマイオとは?
ジュゼッペ・ディマイオ(Giuseppe Di Maio)は、イタリアの政治家であり、五つ星運動(Movimento 5 Stelle)の主要な指導者の一人です。彼は、2018年のイタリア総選挙で五つ星運動を率い、同党を単独第1党へと押し上げました。ディマイオは、労働社会保障相および経済発展相を歴任し、特に「市民所得(Reddito di cittadinanza)」政策の推進者として知られています。
五つ星運動の主導権を巡る争い
五つ星運動は、創設者であるベッペ・グリッロとその盟友ジャンロベルト・カサレッジオによって立ち上げられました。党内の意思決定は、議会内の議員だけでなく、党外の非議員組織にも大きな影響を受けており、ディマイオはその中でリーダーシップを発揮しようとしました。しかし、党内の意見対立やグリッロとの関係性などから、主導権を巡る争いが続きました。最終的には、ディマイオのリーダーシップが確立されることはなく、党内の結束力の欠如が政権運営に影響を及ぼしました。
「データ」が意味するものとは?
エンポリの言う「データ」とは、単なる統計情報や数値データにとどまらず、有権者の行動や感情、関心事などを詳細に把握するための情報全般を指しています。これには、SNS上でのユーザーの投稿内容や反応、検索履歴、オンライン上での購買履歴などが含まれます。これらのデータを分析することで、有権者の心理や行動パターンを予測し、選挙戦略に活かすことが可能となります。
五つ星運動は、創設者ジャンロベルト・カサレッジオの指導のもと、データ収集と分析を積極的に行い、有権者のニーズに応じた政策提案を行ってきました。これにより、従来のイデオロギー中心の政治から脱却し、より有権者本位の政治を実現しようとしました。
まとめ
ジュゼッペ・ディマイオは、五つ星運動の主要な指導者であり、党内での主導権を巡る争いの中でリーダーシップを発揮しようとしました。エンポリの言う「データ」とは、有権者の行動や感情を詳細に把握するための情報全般を指し、五つ星運動はこれを積極的に活用してきました。これらの要素が組み合わさることで、現代のポピュリズム政治における新たな戦略が形成されていることがわかります。
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