銅の表皮深度(δ)は、電流が導体内を流れる際に、電流密度が減少する深さを示す重要なパラメータです。特に高周波信号が流れる場合に重要で、導体内での電流の分布に関する理解を深めることができます。今回は、銅の抵抗率や透磁率、そして異なる周波数(1 kHz, 10 MHz, 1 GHz)における表皮深度を計算します。
表皮深度の定義と計算式
表皮深度(δ)は、交流電流が導体内で流れる際に、電流密度が1/e(約37%)に減少する深さを示します。表皮深度は次の式で求めることができます。
δ = √(2ρ / (ωμ))
ここで、ρは材料の抵抗率、ωは角周波数(ω = 2πf)、μは透磁率です。周波数に依存するため、各周波数に対応する表皮深度を計算するには、周波数ごとの角周波数を使って計算します。
与えられた条件
計算に必要な値は以下の通りです。
- 銅の抵抗率:ρ = 1.72×10^−8〔Ω・m〕
- 透磁率:μ = 4π×10^−7〔H/m〕
これらを使用して、1 kHz、10 MHz、1 GHzの各周波数に対する表皮深度を計算します。
1 kHzでの表皮深度の計算
まず、周波数f = 1 kHzの場合、角周波数ωは次のように計算されます。
ω = 2πf = 2π×1000 = 6283.2 rad/s
これを先ほどの式に代入すると、1 kHzにおける表皮深度は。
δ = √(2×1.72×10^−8 / (6283.2×4π×10^−7)) ≈ 0.066 m
したがって、1 kHzでの表皮深度は約66 mmとなります。
10 MHzでの表皮深度の計算
次に、周波数f = 10 MHzの場合、角周波数ωは。
ω = 2π×10^7 = 62831853.1 rad/s
これを先ほどの式に代入すると、10 MHzにおける表皮深度は。
δ = √(2×1.72×10^−8 / (62831853.1×4π×10^−7)) ≈ 0.0021 m
したがって、10 MHzでの表皮深度は約2.1 mmとなります。
1 GHzでの表皮深度の計算
最後に、周波数f = 1 GHzの場合、角周波数ωは。
ω = 2π×10^9 = 628318530 rad/s
これを先ほどの式に代入すると、1 GHzにおける表皮深度は。
δ = √(2×1.72×10^−8 / (628318530×4π×10^−7)) ≈ 0.00066 m
したがって、1 GHzでの表皮深度は約0.66 mmとなります。
まとめ
上記の計算により、異なる周波数に対する銅の表皮深度は次のようになりました。
- 1 kHzでの表皮深度:約66 mm
- 10 MHzでの表皮深度:約2.1 mm
- 1 GHzでの表皮深度:約0.66 mm
このように、周波数が高くなるにつれて表皮深度は小さくなります。高周波信号では、導体表面近くに電流が集中するため、導体内部での電流分布に関する理解が重要です。
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