流体力学:レイノルズ数と圧力損失の計算方法

物理学

流体力学において、レイノルズ数や圧力損失の計算は重要な要素です。特に、管内を流れる水の流速や管内径、管壁の不規則性が関わる問題では、これらの数値を計算することが不可欠です。この記事では、レイノルズ数の計算方法と、ムーディ線図を使用した圧力損失の求め方について解説します。

レイノルズ数の計算方法

レイノルズ数(Re)は、流体の流れの性質を示す無次元数であり、流れが層流か乱流かを判別するために使用されます。レイノルズ数は次の式で計算できます。

Re = (ρ * v * d) / μ

ここで、ρは流体の密度、vは流速、dは管内径、μは動粘度です。与えられた値を代入して、レイノルズ数を求めます。

質問の例では、以下の値が与えられています。

  • 管内径 d = 200 mm = 0.2 m
  • 流速 v = 4 m/s
  • 流体密度 ρ = 1000 kg/m³
  • 動粘度 μ = 1 × 10⁻⁶ m²/s

これらを式に代入すると、レイノルズ数は次のように計算できます。

Re = (1000 * 4 * 0.2) / (1 × 10⁻⁶) = 800,000

よって、レイノルズ数 Re = 800,000 となります。この値は、流れが乱流であることを示しています。

ムーディ線図を使用した圧力損失の計算

次に、ムーディ線図を使用して圧力損失を計算します。ムーディ線図は、レイノルズ数と摩擦係数(f)の関係を示すグラフで、流れが層流か乱流かによって摩擦係数が異なります。流れが乱流の場合、摩擦係数はレイノルズ数に依存し、さらに管内壁の粗さにも影響を受けます。

ムーディ線図を使用して摩擦係数を求めた後、次の式で圧力損失 Δp を計算します。

Δp = f * (L/d) * (ρ * v² / 2)

ここで、L は管の長さ、d は管内径、ρ は流体密度、v は流速、f は摩擦係数です。与えられた値を代入して圧力損失を求めます。

質問の例では、以下の値が与えられています。

  • 管の長さ L = 12 m
  • 管内径 d = 0.2 m
  • 流速 v = 4 m/s
  • 流体密度 ρ = 1000 kg/m³

ムーディ線図を使用して、レイノルズ数 Re = 800,000 に対応する摩擦係数 f を求めます。例えば、f ≈ 0.02 と仮定します。これを式に代入すると、圧力損失 Δp は次のように計算できます。

Δp = 0.02 * (12 / 0.2) * (1000 * 4² / 2) = 0.02 * 60 * 32000 = 38,400 Pa

よって、圧力損失 Δp = 38,400 Pa となります。

実際の計算における注意点

実際の計算では、摩擦係数 f をムーディ線図で正確に読み取ることが重要です。摩擦係数はレイノルズ数だけでなく、管内壁の不規則性(粗さ)にも依存します。粗さが大きいほど、摩擦係数は増加し、圧力損失も大きくなります。

また、流速や管径の変更により、レイノルズ数が変化し、流れの状態が層流から乱流に変わることがあります。これにより摩擦係数が急激に変化するため、計算結果に影響を与えることがあります。

まとめ:レイノルズ数と圧力損失の計算方法

レイノルズ数の計算と圧力損失の求め方は、流体力学において基本的かつ重要な要素です。レイノルズ数を求めることで、流れの状態(層流・乱流)を判定し、ムーディ線図を使用して摩擦係数を求め、圧力損失を計算します。これらの計算により、配管システムの設計や最適化に必要な情報を得ることができます。

流体力学を理解し、正確な計算を行うことで、効率的なエネルギー使用やシステム設計が可能になります。

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