「土佐日記」の一節、「いささかにものに書きつく」における「いささかに」と「もの」の文法について解説します。この文は古典文学の中でよく取り上げられる表現で、現代文法では理解しにくい部分もあります。特に「いささかに」の後に「もの」という体言が続く点については疑問を持つ方も多いでしょう。
1. 「いささかに」の意味と使い方
「いささかに」とは、古語で「少し」や「わずかに」という意味を持ちます。現代語においても、少しという意味で使われることが多いですが、古典文学ではさらに強調的な意味を含むこともあります。この「いささか」が連用形に変化することで、後ろの語と繋がりを持つことができます。
「いささかに」という形は、もともと「いささか」が名詞(体言)に結びつく際に、連用形にすることでその名詞を修飾する働きをしているためです。
2. 連体形と体言の関係について
現代文法では、通常、名詞(体言)の前に連体形が来ることが一般的です。しかし、古語ではこの法則が必ずしも適用されない場合があります。「いささかに」の場合、連用形が使われており、これは連体形と体言の関係において例外的な構造です。
このような構造は、文学的な表現や語感を作り出すために、あえて用いられることがあります。したがって、「いささかにものに書きつく」という表現も、古典文学ならではの文法的自由度を反映したものと言えるでしょう。
3. 「もの」の役割とその意味
「もの」は古典文学においては名詞として、または抽象的な意味を持つことがよくあります。「もの」は物理的なものだけでなく、経験や事象、行為などを指す場合があります。
この文脈で「もの」は、書きつくす対象としての「こと」や「事柄」を意味しており、現代語で言うところの「こと」にあたります。そのため、「いささかにものに書きつく」の場合、少しのことを記すという意味で使われています。
4. 「いささかにものに書きつく」の文法的な解釈
「いささかにものに書きつく」という表現は、古語における文法的な自由度を反映したものです。「いささかに」の連用形が名詞「もの」に続くことで、少しの事柄を述べるという意図が表現されています。
また、「書きつく」という動詞の使い方も、古典文学における特徴的な表現の一つで、記録や記すという行為が重要なテーマとして扱われていることがわかります。
まとめ
「土佐日記」の「いささかにものに書きつく」という表現は、古典文学の文法における特徴的な使い方を示しています。「いささかに」という連用形と、「もの」という体言の関係は、古語特有の表現技法であり、現代文法ではあまり見られない形式です。このような文法の理解を深めることで、古典文学の美しさと奥深さをより感じることができるでしょう。
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