版画と彫り物の違いとは？間違った表現を理解しよう

「版画のことを彫り物行ってしまいました」という表現について、果たして間違った表現だったのでしょうか？この疑問に答えるために、版画と彫り物の違いについて解説します。

版画と彫り物の定義と違い

版画とは、絵画を版に彫り、その版を使って複製を作る技法です。主に木版画や銅版画などがあります。版画の目的は、オリジナルのデザインを多数に複製することです。一方で、彫り物は木や石、金属などに彫刻を施す芸術作品を指します。この場合、「彫る」という作業は立体的な形状を作り出すことを目的としています。

版画技法においては、「彫る」作業が関わるため、一般的に「彫り物」と呼ばれがちですが、実際には立体的な彫刻を意味する「彫り物」とは異なります。版画は平面的な技法であるため、彫り物という言葉を使うのは適切ではないと考えられます。

版画の技法には、木版画、銅版画、リトグラフなどがあります。これらはすべて平面上に彫りや描きを施し、そこからインクを使って紙に転写することによって、複製を作り出します。彫りの作業自体は、版画の場合も重要な部分ではありますが、その結果は平面的な絵画にすぎません。

彫り物は通常、木、石、金属などの素材を削り取って立体的な形を作り出すものです。彫刻や彫り物の目的は、形を立体的に作り上げることであり、単に「彫る」という行為にとどまらず、芸術作品としての完成度が求められます。

「版画」と「彫り物」は、両方とも「彫る」作業が関わっていますが、技法の性質が異なります。版画は平面上での作業であり、彫り物は立体的な作品です。したがって、版画のことを「彫り物行ってしまいました」という表現は、やや誤解を招くものです。正しい理解をもって、それぞれの芸術技法を楽しんでみてください。